女性の薄毛

薄毛女性の毛髪医療の最前線「自毛植毛」とは

男性や女性の薄毛の治療方法といえば、内服薬の服用や育毛剤などの外用薬の塗布が代表的ですが、そのほかにも自分の毛根を薄毛部位に植え付ける自毛植毛という治療方法があります。

アメリカで自毛植毛の施術が開発されてから50年以上。アメリカでは薄毛治療のスタンダートとして普及していますが、日本ではまだまだ広まっていません。

そこでこの記事では毛髪医療の最前線である自毛植毛の特徴やその効果、おすすめする人などをご紹介していきますので、薄毛に悩んでいる女性の方は是非参考にしてください!

自毛植毛には2つの方法がある

自毛植毛は日本ではあまり認知されていませんが、長い歴史があります。脱毛の治療に皮膚の移植が提案されたのは1930年代のことで、以降様々な手術方法が考案されてきました。

現在は主に「FUT法」と「FUE法」という2つの方法が行われ、医療技術として効果や安全性も確立されています。

FUT法

FUT法は、まず後頭部の頭皮を細長く帯状に切り取ります。それを顕微鏡下で細かく切り分けて、「グラフト」と呼ばれる毛包単位ごとの移植株を作り、薄毛が気になる部分にバランスよく植え付けていきます。

頭皮を切り取った部分は上下を寄せて縫合します。細い線状の傷痕が残りますが、周囲の髪4cm以上伸ばして置いてもらえば傷痕は隠れるので周囲に気づかれることはありません。

将来的にも2cm髪があれば傷は見えなくなりますが、手術直後は髪が長いほど傷痕を人に見られなくて済みます。

FUE法

FUE法は、細いパンチ(キリのように先端が鋭利で中空の金属)で後頭部に穴をあけて、毛をくりぬいて、移植株を採取。

FUT法とは毛の採取方法が違うだけで、移植する手順は同じです。くりぬいた後は小さな穴なのですぐにふさがります。

くりぬいた後には髪が生えないので白色の丸い傷痕が残りますが、小さな傷なので髪の長さが約1cm以上あれば十分隠せます。

FUT法とFUE法の違い

FUE法は切ったり縫ったりしないので、手術後の痛みは少なくとも楽です。

ただしFUE法は皮膚の中に埋もれて見えない毛根を、細い筒状の器具で頭皮をチョコチョコと盲目的にくりぬくので、毛根の切断率が高くなりがちです。

途中で切れた毛根を移植しても、髪は生えてきません。くりぬいた場所にも髪は復活しません。その分はロスになる、ということです。

一方、FUT法は顕微鏡で見ながら切り分けるので毛根の切断率が低いです。質のいい毛根を一度に多量に採取し、効率よく移植することができます。

一度の手術で採取できるグラフト数

FUT法の場合は、最高1,600~2,000グラフトくらいまで採取可能です。FUE法では、通常1回の手術で800~1,000グラフトくらいまで。

1,000グラフト以上は、手術の日に坊主刈りかスキンヘッドにして毛の根元をよく見えるようにしておかないと、採取できません。

FUT法は、生涯で5~6回の植毛ができる場合が多いです。採取できるドナー(切り取れる部分)は回を重ねるごとに少なくなり、生涯の総合計で5,000~6,000グラフト程度まで採取可能な場合が多いです。

自毛植毛の費用

自毛植毛は全額自費で健康保険を使うことはできません。費用はクリニックによってまとまとですが、FUE法の方が時間と手間がかかりますので、高額になります。

金額も大事ですが、その場の事情だけでなく将来のことまで考えたうえで慎重に決断することが大切です。

狭い範囲の薄毛を目立たなくするならFUE法でもいいのですが、特に若い方で将来、広範囲の脱毛に進行する可能性がある場合は、FUT法で植毛開始した方が良い場合があります。

施術は薬物療法との組み合わせで

自毛植毛が広く受け入れられている毛髪治療であるということは間違いありません。

ただ、薄毛や脱毛に対する治療方法としては、薬物療法の方がはるかに一般的であることも確かです。

また、患者さんごとに具体的な治療法が異なることもあって、まずは薬物療法によって毛髪の現状維持を図ろうとするのが通常のケースといえるでしょう。

脱毛範囲が広かったり、薄毛の状態が拡散していたりしている場合には、薬物両方で対処するのにも限界があるので、自毛植毛を視野に入れざるを得ないというわけです。

したがって、より現実的な治療方法として薬物両方と組み合わせて自毛植毛の施術を行うケースが多くなっているということは、間違いないといえるでしょう。

自毛植毛は治療効果が永続する

薬物治療の場合、治療を受けている間は、脱毛や薄毛の進行を遅らせたり、現状を維持したりすることができますが、治療を止めてしまうと再び進行してしまうので、治療をずっと継続していく必要があるのです。

一方、自毛植毛の場合は。植毛した毛包が根付いて髪の毛が生えるようになれば、継続すべき治療はありません。

生涯を通じて自生を繰り替えすということは、重要な特性といえると思います。自毛植毛された毛髪を維持するために、必要な治療は特にありません。

毛髪問題の解決は加齢への対処が大切

日本でも長い間、自毛植毛の取り組みが行われてきて、かなり認知度も上がってきています。これからは、自毛植毛も一般的なものになっていくでしょう。

しかし毛髪トラブルの解決は加齢問題への対処でもあると考えています。加齢による体力の衰えや身体機能の低下について、「老化だから仕方ない」と思わないようにしましょう。

でも、脱毛や薄毛に適切に対処して毛髪の若さを保つことには、老化を自身で制御・コントロールするという側面もあり、若い時の気力や意思を維持したり、取り戻したりすることができるかもしれません。

日本でも自毛植毛が徐々に認知され、薄毛や脱毛の有効な対処法として一般化してきている背景に、そうした考え方があってもいいでしょう。

自毛植毛を受けるクリニックの選び方

薄毛の治療にはいろいろな種類がありますが、髪の毛のないところ普通の太さの髪の毛を生やす方法は、今のところ自毛植毛しかありません。

自毛植毛では自分に必要な部分に思い通りに髪の毛を生えさせることが可能です。ただし、残っている髪の毛を再配分するだけですから髪の毛の総数が増えるわけではありません。

自毛植毛の最終目標は、自然な仕上がりと密度です。そのためには熟練した手業で良いグラフトを準備し、それを丁寧に移植してくれるクリニックを選ぶことが大切です。

植毛に使えるドナー量には限りがありますので、広範囲の薄毛を元の濃さには戻すことはできませんが、普通の濃さに近い濃さに見えるようなテクニックで仕上げるのは、植毛する医師脳での見せどころです。

また、症例が多かったり、医師自身が丁寧にカウンセリングを行ってくれる、その場限りではなく先々のことまで考えた治療計画を立ててくれるといったことも、医療機関選びのポイントといえるでしょう。

【まとめ】薄毛に悩んだらまずはクリニックへ相談!

薄毛や脱毛などの毛髪トラブルに対処する新しい治療方法や対処法が、次々と登場してきており、日本ではそうしたすべての治療法や対処法を利用できるのです。

自毛植毛もまだ広まってはいませんが、薄毛の治療方法の一つの選択肢として検討しましょう。

毛髪トラブルに悩んだら、一人で抱え込むのではなく、毛髪専門クリニックで医師や専門家に相談するようにしましょう。

それぞれの裁量の中で最適の方策が講じられていくことになると思いますので、思い切って一歩を踏み出しましょう。