髪は身体の一部です。
別に作り出されているわけではなく、食事としてとりこまれた栄養を使い伸びていきます。
薄毛で悩んでいるときには、食事を見なおすことも必要でしょう。
そこで、黒髪が美しいと言われた時代の日本の食卓との関係も考えてみるべきです。
食生活と薄毛
かつて日本人は、薄毛が少ないと言われてきました。
美しい黒髪を持つと称された時代もありましたが、最近はハリもツヤも失われた髪が悩みになる女性も増えています。
染色してしまうようなことも、薄毛の原因につながりますが、食事という面からも考えてみなければいけません。
現代の日本人の食生活は、欧米化が進んでいると言われています。
戦後、大きな影響を受けていくことになりますが、それまでの和食と比べ、脂肪分の多い食事がとれるようになりました。
同じカロリーの食事であっても、たんぱく質、炭水化物、脂質の割合は大きく変化してきています。
特に脂質が割合を大きくしてきたことが、髪のトラブルにも影響していると考えられるようになりました。
頭皮にある脂肪線が大きくなりやすく、毛穴も伴って拡大していくと考えられます。
髪が生えてきても、しっかりと抑えていない状態で、わずかな刺激でも抜け落ちてしまう可能性が出てくるのです。
皮脂が分泌されやすくなり、拡大してきた毛穴に詰まりやすく生えにくくなるのも問題でしょう。
たんぱく質が豊富で不飽和脂肪酸を摂れる和食と髪の関係
髪はなにから作られているのかも見なおさなければいけません。
身体の一部として、ほぼたんぱく質で構成されています。
食べ物などで摂取したたんぱく質は、人間の身体の中で再構成され、各種アミノ酸などとなり吸収されます。
アミノ酸は、身体のさまざまな場所に送りこまれ、たんぱく質に変化していくのです。
必要なアミノ酸はいくつもありますが、中には体の中で作り出せないものもあったりします。
髪も血液からアミノ酸を受け取り、毛母細胞が作り出していくこと変わりはありません。
人間の髪を作り出していくためには、ほかにもビタミンCやEが必要です。
血液循環を促してくれるためですが、ほかにも新陳代謝に必要なB群もありますし、成長を補助してくれる亜鉛もなければ髪は育ちません。
こうした栄養素が必要ですが、阻害してしまうのが糖分や脂質です。
身体に必要な栄養の量もありますが、あまりに多くなれば皮脂の過剰分泌や結構の悪化を招くので、髪の成長にはマイナスになるでしょう。
和食はたんぱく質が豊富で、血液循環を手助けしてくれる不飽和脂肪酸が摂取しやすいのが特徴です。
サバやイワシといった青魚に多く含まれており、脂質を固まりにくくしてくれる作用があります。
そこに豆腐や鰹節、焼きのりといった、日本人の朝食でおなじみの食材がプラスされるとたんぱく質も摂取できます。
健康という面からもたんぱく質が必要ですが、1日の摂取量は150グラムがめどです。
意外と少なそうに見えますが、イワシの丸干しで100gあたり32.8グラムしか摂れません。
生アジの皮つきで20gを切りますし、肉類になると豚ひれの赤身でも22g程度です。
かなり積極的に摂取しなければ、必要量に足りないことがわかるでしょう。
亜鉛はもっと摂取がしにくく、レバーや牡蠣によく含まれています。
シジミも多いことで知られているので、味噌汁などもいいでしょう。
ここで注目したいのが、新陳代謝を促進してくれるヨウ素です。
亜鉛と一緒に摂取することによって、髪の成長を手助けしてくれます。
海藻類に多く含まれているので、わかめや昆布といったところも一緒に摂取するのがポイントです。
食材から見てもわかる通り、和食にすると効率的に摂取できる食材が多いでしょう。
さまざまなメニューが考えられますが、日ごろからなれた食事をうまく活用するほうが、飽きたりすることもなく続けられます。
1日変えたからといって、薄毛対策になったりするわけではないのも、慣れ親しんだ和食を選ぶポイントです。
まごわやさしい和食のバランスの良さ
和食といってもいろいろな種類がありますが、キーワードになるのは「まごわやさしい」です。
はじめて聞く人もいるかもしれませんが、必要な栄養素をうまく集めた言葉で、気を付けていくとバランスよく食べられます。
ま 豆 大豆製品
ご ごま ナッツ類
わ わかめ 海藻類
や 野菜
さ 魚 魚介類
し しいたけ きのこ類
い いも類
単純にわかりやすい並びですが、これらの食材を取っているとバランスがいいという意味が込められているのです。
たんぱく質も豊富ですし、不飽和脂肪酸も摂取できます。
ビタミン類も各種摂取できるので、理想的な食事になるでしょう。
もうひとつのポイントは、低脂質である点です。
和食は煮る、ゆでる、焼く、蒸すなどの調理法がありますが、あまり油を使いません。
食材で得られる脂質はありますが、必要以上に摂取しないで済みます。
頭皮の脂質も下げられるのも大きなメリットです。
低カロリーのため、ついでにダイエットもできるという意味でも、和食のメリットが目立ちます。
デメリットも理解しておく
和食はバランスの摂れた食事が実現できますが、メリットの塊というわけではありません。
デメリットもあることを忘れてはいけないため、しっかりと把握して対策が必要です。
和食の大きなデメリットになるのが、塩分であるのはよく知られています。
醤油をはじめ、みそなども塩分が多い食材です。
漬物や梅干し、干物は保存食なのを忘れてはいけません。
塩分を高くして保存できるようにしているので、注意が必要でしょう。
塩分の過剰摂取は、薄毛にもつながります。
適度に摂取することで、ヘアサイクルを正しく保つことも知られていますが、過剰になると神経細胞が死んでしまうような事態も引き起こすのです。
和食のカルシウム不足も指摘されるようになりました。
生命維持に欠かすことができないカルシウムは、骨を丈夫にしてくれます。
それだけではなく、ホルモンや細胞の新陳代謝にもカルシウムが関係しているからです。
細胞の増殖も助けてくれる栄養素であり、欠かせません。
牛乳で摂取できますが、小魚を食べるというほうが理想的でしょう。
骨ごと食べられる魚を食事に取り入れたりすれば、かなり補えます。
同時に緑の野菜も一緒に合わせるのがポイントです。
小松菜や春菊、小ねぎ、送らといった野菜は、カルシウムが豊富に含まれています。
和食の持つデメリットもカバーできるので、理想的な食事にもできるのです。
栄養素の過剰摂取には注意
和食を続けたから薄毛にならないというわけではありません。
いくらかでも脂質も摂取しますし、毎日同じような食事にできるわけでもないので、バランスが偏ることも出てきます。
ですが、洋食と比較すると、髪に良い栄養素が多いのです。
偏りという面でも少なく抑えられます。
無理にサプリメントなどに頼る必要もなくなるのです。
注意しなければいけないのが、サプリメントなどは気を付けないと過剰摂取になりやすい点にあります。
例えば、カルシウムは必要ですが、過剰摂取すると動脈硬化につながる可能性が指摘されるようになりました。
亜鉛も同様に過剰摂取二通委が必要で、銅欠乏や貧血、胃の不調につながります。
ビタミン類でも気を付けなければいけないものがあるのです。
身体に必要なたんぱく質もカロリーオバーになる可能性がありますし、内臓が披露してしまう可能性も出てきます。
食事で補う分には、過剰摂取はあまり気にする必要はありません。
もともと、食事で摂取できる量では、過剰摂取状態になりにくいからです。
塩分などに問題はあるものの、バランスの優れた和食はこうしたメリットもあるといえるでしょう。
まとめ
食事によって薄毛を予防して改善していくのは、理想的な手段です。
しかし、頭皮環境の悪化やストレスといった要因も薄毛には関係してきます。
和食のようなバランスに優れた食事にするとともに、生活環境も見なおすのが薄毛対策としては必要になるでしょう。