「白髪の人は薄毛にならない」と聞いたことがありませんか?
しかし、その根拠を探してみても、全く見つけることができません。
それも当然、医学的根拠は全くない、と多くの医師が否定しているのです。
しかしこの俗説とは逆に、「白髪を抜くと薄毛になる」はちゃんとした理由があるのです。
白髪を見つけるとつい抜いてしまう人は、ぜひそのクセを止めましょう。
Contents
髪はどうやって成長する?そのメカニズム
まずは簡単に、髪の毛が生まれ、育っていくメカニズムについて説明しましょう。
髪の毛は毛穴から生えてきますが、毛穴の一番下にある毛根部は皮膚の真皮層にあります。
真皮層の下には皮下脂肪があり、そこから伸びた毛細血管が毛根部の「毛乳頭」という部分につながっており、栄養と酸素を送っています。
毛乳頭は一旦血液を貯蔵し、「毛母細胞」という髪を産み育てる細胞と「メラノサイト」という髪の色素を作る細胞に与えます。
すると毛母細胞は細胞分裂を繰り返し、それによって髪が成長していきます。
また、毛母細胞から生まれたばかりの髪には色がついていません。
メラノサイトがメラニン色素を供給することで髪に色がつき、毛穴から出てくるのです。
さらに、1つの毛穴内にはいくつもの毛乳頭が存在していて、健康状態が良ければ髪が3~4本くらい生えています。
しかし、加齢や紫外線などによって頭皮環境が悪くなると、段々本数が減り、最後には0~1本になってしまいます。
0本になった毛穴はどんどん萎縮し、最後には完全に塞がってしまいます。
そうなると、もう新しい髪が生えてくることはありません。
白髪と薄毛の関係はあるのか
髪のメカニズムはまだ完全には解明されておらず、「白髪やハゲを治せればノーベル賞」といわれているほどです。
しかし研究は進んでおり、以下のような可能性が示唆されています。
質の悪い血液でメラノサイトにも毛母細胞も栄養失調になる
毛乳頭は、送られて来た栄養と酸素をどちらか片方の細胞だけに与える訳ではないため、血液に問題があればメラノサイトも毛母細胞もダメージを受ける、という説です。
どちらの細胞も、血液の栄養によって生きています。
そのため、食生活の乱れで血中に中性脂肪やコレステロールがたっぷり含まれて血液自体の質が低下すると、メラノサイトや毛母細胞も正常な機能を失ってしまいます。
ドロドロ血液が血管壁に付着し血液が届かなくなる
血液を送る毛細血管は、髪の毛の1/10程度の太さしかありません。
そのため、血管壁に中性脂肪やコレステロールが付着して血管が狭くなると届く血液の量が減り、細胞が充分増殖できなくなって白髪になったり薄毛になったりするのです。
ストレスで血管が収縮する
ストレスを感じると、人間はそれに対処しようとして全身に力を入れます。
すると血管も収縮して毛細血管まで血液が送られなくなるため、髪が正常に育たなくなります。
ストレスで頭皮の皮脂が過剰分泌される
ストレスを感じると、自律神経の交感神経が活性化します。
交感神経は男性ホルモンと深い関係があり、男性ホルモンには頭皮の皮脂を増やす作用があります。
女性も多少ながら男性ホルモンを持っており、ストレスが溜まると男性ホルモンが活性化し、皮脂分泌量が増えてしまうのです。
頭皮の皮脂は紫外線や外的刺激から皮膚を守るために大切なものですが、過剰分泌されると雑菌が繁殖しやすくなり、毛穴に入り込んで炎症を起こします。
すると毛母細胞やメラノサイトの機能が低下し、薄毛や白髪の原因となるのです。
加齢によって両細胞の機能が低下する
細胞は常に新陳代謝を繰り返し、新しい細胞が生まれています。
しかし、この作用は加齢とともに時間がかかるようになっていきます。
そのため、毛母細胞もメラノサイトもなかなか新しい細胞に生まれ変わることができず、機能の衰えた古い細胞には髪を産み育てたり色をつけたりする力が残っていないため、薄毛や白髪が増えていくのです。
活性酸素が両細胞を攻撃する
紫外線はストレスと並び、活性酸素を増やす原因です。
頭皮は全身の中で最も紫外線を受ける部分で、黒髪が紫外線を吸収しているものの、充分ではありません。
徐々に活性酸素が増えて行くと毛母細胞やメラノサイトが攻撃され、機能が老化して新陳代謝できなくなってしまうのです。
これらの説からわかるように、白髪が生えてきたということは薄毛も始まっていると考えられます。
白髪は目立つため、そちらのほうに気を取られがちですが、実は同時に黒髪が細くなったり柔らかくなったりしているケースが非常に多いのです。
なぜ白髪を抜くと薄毛になりやすいの?
このように、白髪と薄毛には深い関係があります。
さらに、白髪を抜くことで黒髪にも悪影響を及ぼすのです。
抜く時に毛細血管を傷つける
白髪を抜いた経験がある方は、結構抜けにくく痛みを感じたのではないでしょうか。
特に太い白髪はまだ毛根部が回りの皮膚や毛細血管としっかりつながっているため、無理矢理抜くと毛穴全体を傷つけてしまいます。
すると、毛穴内に生えている他の数本につながっている毛細血管も傷つき、栄養が届かなくなるため、髪が細く柔らかくなり、抜けやすくなるのです。
頭皮が硬くなる
皮膚は痛みを感じると、きゅっと締まって緊張します。
皮膚が健康であれば、すぐに緊張がゆるみ皮膚は元の状態に戻りますが、何度も白髪を抜いていると徐々に頭皮全体が硬くなってきます。
また、抜くこととは関係ありませんが、加齢によっても頭皮が硬くなります。
白髪が増えだすのは35歳前後といわれていますが、この頃になると皮膚の真皮層にあるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などが減ってきます。
コラーゲンには皮膚の柔軟性を保つ働きがあるため、減少すると頭皮が硬くなってきます。
これらの原因によって、表皮からわずか数ミリのところにある毛細血管が頭皮に圧迫されて血液が充分流れなくなるため、髪が抜けやすくなるのです。
痛みのストレスによって活性酸素が増える
痛みは、身体にとっても精神にとっても大きなストレスです。
ストレスは活性酸素を増やすことがわかっており、毛母細胞が攻撃されてDNAが損傷されると細胞分裂ができなくなったり、細胞自体が変質してしまったりします。
すると髪がなかなか伸びない、細く弱い毛になるといった変化が起こり、抜けやすくなります。
白髪はこんな方法で対応しましょう
白髪をよく見ると、中には根元が黒くなっているものがありませんか?
髪の毛は白くなったらずっと白いとは限らず、栄養不足やストレスなど原因が改善されれば途中から黒髪に戻ることがあるのです。
そのため、その可能性がある白髪を抜くのは絶対に止めましょう。
いちいち抜いていたら、どんどん髪自体が減ってしまいます。
白髪には、以下のような対処がおすすめです。
白髪を短くカットする
まだ白髪の本数がそれほど多くないなら、面倒でも1本ずつできるだけ根元近くをはさみでカットしましょう。
この時、斜めにカットするとそこから裂けて、枝毛になりやすくなります。
できるだけ髪と垂直に切りましょう。
白髪隠しを使う
白髪隠しには、手軽なファンデーションタイプやマスカラタイプ、フェルトタイプなど種類がたくさんあります。
頭頂部や分け目、顔回りなど目立つ部分は白髪隠しでささっと隠しましょう。
なお、白髪隠しには髪につけてすぐなじむものと、乾くまでに5~10分時間がかかるものがあります。
マスカラタイプやフェルトタイプは時間がかかりますが、その分髪全体をしっかりコーティングしてくれるので、数タイプ揃えておくと安心です。
白髪の多い部分を中心にカラーリングする
白髪がまとまって生えている部分がある場合は、その部分をカラーリングする方法です。
また、その逆に白髪以外を明るい色に染めて、白髪を目立たせなくする方法もあります。
ただ、ヘアカラーは頭皮にダメージを与えるため、染めるのは一部にした方が安心です。
また、頭頂部や分け目以外は根元からではなく、1センチ以上離して染めてもらうと良いでしょう。
カラートリートメントやカラーシャンプーを使う
最近は白髪を手軽に染められるカラートリートメントやシャンプーも販売されています。
一度で染まることはないものの、徐々に目立たなくなっていきます。
また、低刺激で頭皮環境を整える成分が配合されているものなら、育毛にも効果が期待できます。
白髪も薄毛も生活習慣の見直しで改善しましょう
髪の毛を育てるには、充分な栄養と血流を良くする適度な運動、充分な睡眠が必要です。
そこで、以下のことに気を配りましょう。
・髪の主成分となるタンパク質や、食べたタンパク質を髪のケラチンに変化させるのに必要なビタミンB群、ビタミンC、ミネラルを充分摂る
・ウォーキングや早足など、息が多少上がる程度の有酸素運動を習慣にする
・血行促進と身体の緊張をほぐすため、週1~2回は湯船に浸かる
・質の良い睡眠を取る
・こまめに頭皮マッサージをして血行を良くする
・紫外線から頭皮を守るため、帽子や日傘などを常時使用する
まとめ
残念ながら、これまでの研究では白髪の改善は難しいとされています。
しかし女性の育毛に関しては、日頃のケアや育毛剤などの使用で効果が出ることがわかっています。
白髪は絶対抜かず、さらに頭皮環境を良くして、薄毛を予防改善しましょう。