ヘアケア

乳製品が髪に良いとは限らない。摂り過ぎは女性の薄毛の原因になるかも

乳製品といえば、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどがすぐに思い浮かびませんか?

どれも美容と健康に良いといわれているものです。

特にヨーグルトを毎日食べている、という女性は多いのではないでしょうか。

しかし、美容にも髪にも良いと言われている乳製品も、摂り過ぎるとむしろ薄毛の原因となることもあるのです。

その理由について、詳しく解説します。

乳製品とは

「乳製品」とは、字の通り牛乳を加工して製造される食品のことを指します。

乳製品にはこのようなものがあります。

ヨーグルト、チーズ、バター、ギー(バターを精製したもの)、バターミルク、バタークリーム、クリーム、
アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、コンデンスミルク、スキムミルク、エバミルク、乳酸菌飲料、乳飲料 など

また、これらの原料となる牛乳には生乳100%の「牛乳」もあれば、生乳100%を成分調整の上殺菌した「成分調整牛乳」もあります。

同じく生乳100%で乳脂肪分を減らした「低脂肪牛乳」、乳脂肪分を0.5%以下まで減らした「無脂肪牛乳」、さらに生乳のほか脱脂粉乳などを加えた「加工乳」などがあります。

最近は特に女性を中心に、低脂肪や無脂肪の牛乳を使用した乳製品を選ぶ人が増えています。

牛乳や乳製品が健康に良いといわれる理由

牛乳が健康に良いといわれるのは、その栄養価の高さにあります。

炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルがバランス良く含まれているので、生命活動や健康維持、美肌や美髪のためにとても大切な働きをしているのです。

当然、その牛乳から作った乳製品も同じように健康効果があります。

牛乳で特に多く含まれているのがカルシウムです。

コップ1杯で1日の食事摂取基準の34.9%も含んでおり、加齢によって骨粗しょう症になりやすい女性にはぴったりといえます。

また、髪の毛の成長に必要なタンパク質に加え、食べたタンパク質を髪のケラチンタンパク質に変えるために必要な亜鉛やビタミンB群も豊富です。

いくらタンパク質をたっぷり摂っても、これらのビタミンやミネラルが不足すると健康な髪の毛は生まれません。

牛乳は髪の健康にもとても効果的といえるのです。

牛乳や乳製品は髪に良くないことがある

このように、髪の毛に良い成分が豊富な牛乳や乳製品ですが、場合によっては薄毛の要因となることがあります。

その理由をご説明しましょう。

日本人の多くが乳糖不耐症

遺伝的に、何らかの成分を分解する酵素が弱い、あるいは不足している人がいます。

たとえば、日本人は世界中で最もアルコールを分解する酵素を持っていないか、あるいは酵素の働きが弱いアルコール不耐症が多い民族といわれ、合わせて44%もいるという統計があります。

同様に、乳糖を分解する酵素を持っていない、あるいは働きが弱い人も日本人には多いといわれているのです。

乳糖不耐症は、お腹がゴロゴロしたり下痢したり、または、おなら、腹部膨満、腹痛などを起こしたりする症状を指します。

この疾病がある人の割合は調査によって違い、20%前後という説もあれば75%という意見もあります。

非常に差が大きいのは、症状が顕著な場合のみか、ちょっとおならが出やすくなるといった本人が無自覚なケースまで入れるか、の違いでしょう。

乳糖不耐症の原因は、乳糖のラクトースを分解するラクターゼという消化酵素が、小腸に不足していることです。

ラクターゼは幼児の頃には多いのですが、成人になるまでに活性が低下します。

そのため、大人になってから乳糖不耐症を発症する人が多いのです。

これまでの研究によって、子供の頃から大量に乳製品を摂取していない限り、たとえ自覚症状がなくても、多かれ少なかれ乳糖不耐症の素地がある、といわれています。

さらに、ヨーロッパではすでに5,000年以上前から牛乳を摂取していたとされているのに対し、日本で一般的に飲まれるようになったのは1950年代です。

そのため、日本人の体は牛乳を消化する遺伝子を持っていない、という説もあります。

このことから考えると、髪の毛のために牛乳や乳製品を摂取しても、実際には栄養素を充分吸収できていないことになりますよね。

それどころか、腸内環境を悪くしたり、腸内に乳糖が蓄積されて下痢や腹痛などの症状が強くなったりしてしまうこともあるのです。

牛乳アレルギーの場合も

牛乳アレルギーは食物アレルギーの一種で、乳糖不耐症とは違う疾病です。

牛乳などに含まれるタンパク質の、カゼインやβ-ラクトグロブリンが原因です。

牛乳アレルギーは不耐症とは逆に、成長するにつれて自然治癒することが多いとされています。

しかし中には大人になっても治癒しない人や、乳糖不耐症を発症してしまう人もいます。

動物性脂肪の摂り過ぎで血液ドロドロの原因にも

近年、日本人は運動量が低下しており、それに伴い必要な脂質の摂取量も減っています。

例えば1日の必要カロリーが1,500kcalの場合、必要な脂質は35~50g程度です。

しかし平成30年国民健康・栄養調査によると、20歳~69歳の女性の平均は57.14gとなっており、かなりオーバー気味なのがわかります。

この原因の一つが、乳製品です。

牛乳200mlあたり7.8gと、それだけで1日の目安摂取量の2割以上になります。また、バターの場合は大さじ1で脂質が9.7g、スライスチーズ1枚で4.7gですから、朝食だけで1日の必要摂取量の2/3程度摂ってしまうことになるのです。

元々日本人は炭水化物(糖質)の摂取量が多く、さらに脂質まで過剰になるとそれらが蓄積されて中性脂肪となり、血液に入り込んでドロドロにしてしまいます。

すると頭皮まで充分届かなくなるため、髪の毛が栄養不足で薄毛や抜け毛の原因となります。

また、脂質摂取量が多いと毛穴内の皮脂腺からの皮脂分泌量も多くなるため、頭皮に雑菌が繁殖しやすくなります。

すると毛穴内が炎症を起こし、髪を産み育てる毛母細胞の機能を劣化させてしまい、髪が成長途中で抜けてしまうこともあるのです。

牛乳には女性ホルモンが含まれている

本来、牛乳は出産後の乳牛から採取するものでした。

しかし近年妊娠中の乳牛の乳が多く出回っているといわれています。

人間も同じですが、妊娠中は女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが大幅に増えます。

エストロゲンには髪の毛の寿命を伸ばす働きがあるため、乳製品を摂ることで髪の成長に良い気がしますよね。

ところが、実際には卵巣が作る自然のホルモンと違うため、身体が充分に対応できません。

さらに、多くの日本人は乳糖不耐の因子を持っているため、かえって体調を崩して抜け毛や薄毛の原因になることがあるのです。

乳製品は正しく摂りましょう

乳製品は牛乳やヨーグルト、チーズなど、それだけで食べられるものもあります。

しかし多くはケーキやクッキー、パスタ、ピザ、カフェオレやパフェなどこってり系の料理に多く使われていて、知らず知らずのうちにかなり摂ってしまっているかもしれません。

牛乳や乳製品は正しく摂ればとても身体に良いものですから、以下のことを考えながら摂取することをおすすめします。

1日に摂る量を減らす

牛乳をそのまま飲むより、カフェオレにして牛乳の量を半分にしたり、バターの代わりにゴマペーストを使用したりと、少し減らすことを心がけましょう。

腸内環境を整えて乳糖不耐症を緩和する

乳糖不耐症の症状の強さは人によって違いますが、ほとんどの人がその因子を持っています。

乳製品を摂る時には以下のことに注意すると、症状が出にくく栄養素を吸収しやすくなります。

・空腹時に摂らない
・牛乳は温めてゆっくり飲む
・乳製品は他の食べものも一緒に摂る
・発酵した乳製品は症状が出にくくなるので、ヨーグルトや熟成チーズを中心に摂る

また、近年の研究で、腸内環境が良いと乳糖不耐症の症状が出にくくなることがわかってきました。

腸内環境を良くするには発酵食品を食べることが良く、ヨーグルトもその一つです。

ビフィズス菌や乳酸菌が増えると善玉菌も増え、腸内環境が良くなりますから、ヨーグルトを少しずつ摂取するのも良いかもしれません。

まとめ

乳製品は、健康にも髪にも良い成分を豊富に含んでいます。

その反面、日本人はせっかくの栄養素を充分吸収できなかったり、摂り過ぎて頭皮環境を悪くしたりしている可能性が高いといわれています。

もし薄毛改善のために大量に牛乳や乳製品を摂っているのに効果がないと感じたら、一度量を減らして様子を見てみてはいかがでしょうか。