女性の薄毛

美容と健康のための料理づくりとは? 女性の薄毛によく効く薬膳レシピ

はじめに 薬膳とは何か

薬膳とは、中医学(中国伝統の医学)の理論に基づいた料理のことであり、食養生の方法の一つと考えられています。

中医学には「薬食同源」という考えがあり、これは、薬と食べ物はその大もとは同じという思想です。

あらゆる食材には、薬と同じ効果があり、間違った食事は病気を引き寄せ、正しい食事は体を回復させるというのが、「薬食同源」の基本です。

薬膳は、悪いものを体から排出し、体調を回復させるだけでなく、健康的な体を作り、病気を予防する「正しい食事」のことです。

具体的に言うと、旬の食材と「生薬(漢方の原料)」を組合せて作る、健康に良い食事が薬膳となります。

体質や体調の変化、その目的によって、必要な食材の種類や分量、配合は変わります。

薬膳は、いわばオーダーメイドの「漢方薬」のような役割を持つ食事と言えます。

この記事では、薄毛や抜け毛に効果のある薬膳についてお伝えしていきます。

薬膳は健康だけでなく、美容にも効果があり、健やかな髪と頭皮を作る手助けをしてくれるので、普段の生活に取り入れていきましょう。

薬膳を作るときのポイント

薬膳を作るときのポイントは、自分の体質を知ること、現在の自分の体の状態を確認することです。

自分が熱を溜めやすい体質なのか、それとも熱を放出しやすい体質なのか、血の巡りが良いか、血は足りているか、体のエネルギーは足りているか、水分のバランスは良いかなど、自分の体をよく知ることが必要です。

その上で、バランスを整えるための食材を選ぶと良いでしょう。

難しそうに思えるかもしれませんが、考え方は意外とシンプルなんです。

・体が冷えているときは、体を温める食材をとる。

・体がほてるときは、体を冷やす食材をとる。

・水分をためこみむくんでいるときは、余分な水を排出する食材をとる。

・血のめぐりが悪いときは、血行を促進する食材をとる。

・体力が落ちているときは、エネルギーを補う食材をとる。

抜け毛に良いからと同じ食材ばかりとるのではなく、全体のバランスを考えて食事を組み立てるのが大事です。

血が不足している人のためのレシピ

東洋医学では、髪は「血余(けつよ=血の余り)」と呼ばれています。

つまり、血がめぐって栄養を届ける先として、髪の毛はその余り(最後に運ばれる先)ということです。

十分な血がなければ、そしてその血を運ぶ流れが良くなければ、健康な髪は作られません。

薄毛や髪の乾燥などのヘアトラブルは、血の不足や血行不良と関係していることがお分かりいただけたのではないでしょうか?

血が不足している人は、次の項目に自分が当てはまるのかをチェックしてみましょう。

・髪が細く、抜け毛が多い

・眠りが浅く、夢をよく見る

・顔色が悪い(顔色が青白い)

・髪や爪にツヤがなく傷みやすい

このタイプの人は出来るだけ多くの種類の食材をとりましょう。

一度に摂取するのではなく、こまめに少しずつ食べると効果的です。

血を補うためには、色の濃いもの(黒や赤の色が濃い食材)がオススメです。

ブルーベリー、レーズン、プルーン、なつめ、クコの実、緑黄色野菜、黒豆、ひじき、黒ごま、黒米、黒きくらげなどは血を補うと同時に血のめぐりもよくしてくれます。

また、レバーや豚肉、イカやタコ、カツオ、貝類など動物性のタンパク質や、豆腐などの植物性タンパク質も合わせてとってください。

おすすめのレシピは、黒豆・きくらげ・なつめのスープです。

黒豆を水に一時間浸しておきます。

きくらげも20分ほど水に浸してから、汚れた部分を取り除きます。

黒豆、きくらげを、さっと水洗いしたなつめと一緒に煮てスープを作ります。

なつめと一緒にクコの実やハスの実、松の実などを加えてもいいですね。

一時間ほど煮込んでトロっとしたら仕上げの味付けをします。

砂糖を入れるなら甘いデザートスープになりますし、塩で味付けをして鶏肉や米、黒米を入れておかゆにしてもいいでしょう。

美肌にも効果のある一品です。

材料を揃えたり、下準備をしたりするのが面倒くさいという人は、黒豆をフライパンで10分ほど乾煎りしたものを、沸騰した鶏ガラスープに入れて煮込むところから始めてみましょう。

そこに旬の野菜を入れると、「ちょい足し」薬膳になりますよ。

エネルギーの低下を感じている人のためのレシピ

髪は、「血」だけでなく「腎」とも密接に関係しています。

東洋医学の「腎」は、腎臓だけを指した言葉ではなく、生命力・生殖力を貯蔵する場所をあらわす言葉です。

この「腎」は加齢に伴い、機能が低下していくと言われています。

「腎」に蓄えられているエネルギーを「腎精」と呼びます。腎精は、食事や生活の不摂生によって消耗しますし、加齢によっても減っていきます。

つまり、腎精を保つことはアンチエイジングにつながると考えてよいでしょう。

「髪は腎の華」ともいわれ、腎の働きが衰えると健やかな髪が育ちにくくなり、抜け毛も増えます。

それだけでなく、全身に気がめぐらずに疲れを感じやすくなったり、腰痛などの不調を引き起こしたりします。

エネルギー不足を感じている人は次の項目に当てはまるかをチェックしてみてください。

・白髪や抜け毛が多い

・膝や腰がだるい

・目がかすむ

・耳鳴りがする

・忘れっぽい

・頻尿もしくは尿が出づらい

このタイプの人に効果的なのは、気を補い、臓腑の働きを高める食材です。

体を温める働きのあるもの、甘味・辛味の食材、かんきつ類、にら、ジャスミンなどが良いと言われています。

また、血が不足している人と同様に黒い食材を取り入れると「腎」の働きをよくすることができます。

黒米、黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、昆布やひじきなどの海藻類、しいたけ、蕎麦などがこれに当てはまります。

おすすめのレシピは、黒豆と黒米の炊き込みご飯です。

黒豆をフライパンで10分ほど炒ってから、お米と黒米と合わせて炊くと簡単に黒豆と黒米の炊き込みご飯ができます。

水加減は、黒豆もご飯と同様に炊飯用カップではかります。
(例:白米3合、黒豆0.5合、水分量は3.5合分。黒米は大さじ1につき、水15mlを加えます)

腎に効く食材は、血の不足も補うものが多いので、先ほどのスープと一緒に普段の食事に取り入れましょう。

また、いわゆる精のつく食材は「腎」を養うと言われています。

うなぎやすっぽん、山芋などは、「腎」の機能を高めエネルギーを回復させてくれる食材です。

エネルギーの不足を感じている人は、これらの食材も定期的にとるようにしましょう。

特に山芋は、安価で入手しやすく、手軽に普段の食事に加えることができる食材です。

漢方の材料としては乾燥したものが使われますが、生のものやそれに火を通したものでも効果は期待できます。

山芋をすりおろして卵、しょうゆと混ぜて、そこに50℃程度(酵素の働きをいかす温度は40~50℃)のだしを入れたとろろ汁は、手軽に栄養が補給できる料理です。

刻んだ山芋を酢水で洗い、三杯酢に漬けた酢の物も簡単にできて美味しいので、料理のレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。

おわりに

薬膳の考え方は、食べ物の薬効を最大限に引き出すというものです。

薬膳では、自分の体質や状態に合わせて、食材を決めます。

今回の記事では、薄毛の人のタイプとして、「血」に関わるものと「腎」に関わるものを紹介しました。

重なる部分はたくさんありますが、それぞれに必要な食材を確認して、自分のタイプに合わせて食事に取り入れることで効果を高めることができます。

食事のバリエーションを増やして、薄毛や抜け毛を予防・解消していきましょう。