多くの女性が一度ならず苦しんでいる便秘。
お腹は張るし、肌荒れや頭痛、肩こりなど様々な不快な症状が起こります。中にはそれに耐えられず、便秘薬を常用してしまう人も。
しかし、便秘薬頼みになると段々効かなくなってきて、さらに強い薬を…の悪循環になってしまいます。
しかも、髪の毛にも悪い影響を及ぼすのです。
今回は、女性に多い便秘の原因と髪との関係、便秘を解消する方法について解説しましょう。
便秘はなぜ起こる?女性に多い原因とは
女性は男性に比べ、便秘になる人が多いといわれています。それにはこのような原因があります。
筋肉が少なく弱い
女性は女性ホルモンの影響で、男性ほど簡単に筋肉がつかないようにできています。
妊娠した時に胎児を守れるように、エストロゲンの作用で皮下脂肪がつきやすくなっているのです。
すると腹筋が弱くなり、大腸に刺激を与えにくくなります。
その結果、大腸のぜん動運動が活発になりにくく、便を押し出せなくなってしまうのです。
女性ホルモンのプロゲステロンによる作用
プロゲステロンは黄体ホルモンともいわれ、生理前になると多く分泌されます。
このホルモンには水分を溜め込む作用があるため、腸内の水分が不足してしまい、便が硬くなってしまいます。
その結果、排泄が難しくなってしまうのです。
さらに、プロゲステロンには腸のぜん動運動を抑制する作用もあります。
これらの理由は、プロゲステロンが妊娠を継続させるために働くホルモンだからだと考えられています。
体内に水分や栄養素を貯めて胎児に送ろうとする働きが悪い方に作用し、便まで溜め込んでしまうのです。
運動不足による大腸への刺激の低下
交通網の発達や様々な便利な機器の開発によって、現代人は身体を動かす機会が減っています。
江戸時代は移動手段が徒歩しかなく、女性でも1日30㎞以上歩いたといわれていますが、現在女性の平均は約5㎞です。
しかも、これは一気に歩いた距離ではありません。
歩くという行為は簡単なようで、実は大腸に刺激を与えてぜん動運動を促進するための大切な運動です。
歩かなくなったために、便秘になりやすくなっているのです。
さらに、デスクワークでずっと座っていると内臓に全く刺激を与えないため、さらに便秘が悪化します。
ストレスで自律神経が乱れやすい
女性は男性に比べ、日常生活でストレスを受けやすくなっています。
仕事や家事、育児、近所づきあい、義理の両親やママ友との付き合いなど、次から次へと心への負担がのしかかり、どうしてもストレスが溜まりやすいのです。
ストレスが溜まると、自律神経のうち交感神経が優位になります。
交感神経は腸のぜん動運動を止めてしまう作用があるため、便秘になりやすくなるのです。
無理なダイエットや偏食
今流行の糖質制限で便秘になる女性が増えています。
これは、炭水化物を制限し過ぎた結果です。
炭水化物には糖質のほか食物繊維も含まれているため、あまり避けてしまうと食物繊維不足で便が硬くなってしまうのです。
また、野菜中心のダイエットも、便秘になりやすくなる女性は少なくありません。
タンパク質の摂取量が減ると、タンパク質を主成分とする筋肉が作られなくなります。
すると、食物繊維を多く摂っても便を押し出すだけの筋力がなくなるため、体内に便が滞留してしまうのです。
便秘が薄毛や抜け毛の原因となる理由
便秘には様々な弊害がありますが、薄毛や抜け毛などの髪トラブルもその一つです。
原因には以下のことが挙げられます。
便の毒素が血中に入り込む
便秘というと、便がずっと大腸に留まっているだけ、というイメージがありますよね。
しかし、実は便の中の有害物質や老廃物が腸壁から体内に再吸収され、それが血液に入り込んでしまうのです。
この状態が長く続くと、頭皮にも汚れた血液がどんどん届くようになります。
すると髪を産み育てる毛母細胞が正常な働きができなくなり、抜け毛や薄毛を引き起こしてしまうのです。
食べたものが充分吸収されなくなる
大腸は、食べたものが胃で分解され小腸で栄養素の多くが吸収された後の、最後の消化過程を担当する器官です。
しかし便秘になるとこの働きが充分できなくなり、栄養素の吸収が出来にくくなります。
その結果、頭皮にまで栄養が届かなくなり、髪の成長にトラブルが起こりやすくなるのです。
血行不良になり髪に栄養が届かなくなる
頭皮に栄養が届かなくなるもう一つの原因は、血行不良です。
便秘になるとお腹周りが常に圧迫されてしまうため、その付近の血管が圧迫されます。便秘になると腹痛や腰痛が起きるのはこれが原因です。
この症状が悪化すると全身が血行不良になり、頭皮に栄養が届きにくくなるのです。
女性ホルモンの分泌が悪くなる
女性ホルモンのエストロゲンには、髪の成長を助け寿命を長くする働きがあります。
しかし便秘が続くとエストロゲンの分泌量が減り、髪の成長が止まり抜けやすくなります。
腸は「第2の脳」といわれ、自律神経にコントロールされている器官です。そのため、便秘になると自律神経が乱れやすくなります。
そこで問題となるのが、自律神経と女性ホルモンは同じ脳の視床下部というところでコントロールされているということです。
自律神経が乱れると女性ホルモンのバランスも乱れてエストロゲンの分泌量が減り、髪の寿命が短くなって成長途中で抜けやすくなるのです。
便秘を解消する5つの方法
このように、便秘は健康にも髪にも悪い影響を与えます。これからご紹介する方法で、1日も早く便秘を改善しましょう。
食物繊維をたっぷり摂る
便秘解消の基本は、食物繊維を摂ることです。
食物繊維には便を柔らかくする水溶性と、量を増やす不溶性があります。
どちらも大切ですが、便が硬い場合、不溶性繊維を摂るともっと硬くなってしまいます。
そこで、以下の食材を中心に、便の硬さで選ぶようにしてください。
水溶性食物繊維…きくらげ、らっきょう、ケール、小豆、大豆、大麦、納豆、チアシード、ゴマ、じゃがいも、ゴボウ、切り干し大根、ライ麦粉、アンズ、プルーン など
不溶性食物繊維…こんにゃく、きくらげ、おから、まいたけ、干ししいたけ、小豆、ひよこ豆、大豆、チアシード、モロヘイヤ、オートミール、納豆 など
※こんにゃくは粉の場合水溶性ですが、製造時に凝固剤を入れると不溶性に変化します。
発酵食品を摂る
発酵食品は善玉菌のエサとなり、腸内環境を良くする働きがあります。以下の食材を積極的に食べるようにしましょう。
納豆、甘酒、味噌、醤油、漬物、ぬか漬け、粕漬け、麹、鰹節、塩辛、ペパロニ、チョリソ、生ハム、ヨーグルト、サワークリーム、チーズ、日本酒、ビール、ワイン、焼酎、酢、キムチ、ザワークラウト など
硬水のミネラルウォーターや炭酸を飲む
硬水にはマグネシウムが豊富で、便の水分量を増やして柔らかくする作用があります。また、炭
酸水に含まれる炭酸ガスは、腸を刺激しぜん動運動が活発になります。
どちらも人によって適量が違い、飲み過ぎるとお腹が膨れたり腹痛が起きたりすることがあります。最初はコップ半杯程度から始めましょう。
自律神経を整える
自律神経を整えることで腸のぜん動運動が盛んになり、さらに女性ホルモンの分泌も良くなる効果が期待できます。
自宅でできる自律神経の調整法には、こんなものがあります。
・散歩やウォーキングなど軽い全身運動をする
・ストレッチやヨガで全身を伸ばして血行を良くする
・40℃前後の湯船に15分程度浸かる
・できるだけ決まった時間に就寝、起床する
腸を直接刺激する
方法①:肩幅程度に足を開いて立ち、両手を腰に当てて左右にひねる
方法②:仰向けの姿勢から両膝を曲げて両腕で抱え、胸のほうに持ってきながらお尻を浮かせる
また、スクワットもおすすめです。下半身全体と腹筋、背筋も鍛えられるので、腸のぜん動運動が活発になってきます。
まとめ
便秘は体内に便が留まるというだけでなく、体調不良や薄毛、抜け毛の原因にもなります。
それでなくてもお腹は張るし、ニキビはできるし、良いことは一つもありません。
また、薬に頼ると、薬を飲まないと大腸が動かないようになってしまいます。
今回ご紹介した方法で、1日も早く便秘を解消しましょう。