女性の薄毛

命のために化学療法を選択した女性へ!脱毛・薄毛になる前の準備と治療中の注意点とは?

ご自分の命を守るためと、化学療法を選択されたあなた。

何においても、命あってこそですものね。正しい選択です。

でも、見た目が変わること。脱毛のこと。

これは女性として、命と同じくらい重要なことと考える方がいらっしゃってもおかしくはありませんよね。

化学療法が終われば、髪が生えてくるよ。と、声をかけられているかもしれません。

そうではない!

もっと具体的な見立てやアドバイスが欲しいのと、思われているのではないでしょうか。

そこで、命を守るための化学療法が終わった後を見据えて、

治療開始前に準備しておくことは何か?
治療中にどう過ごすべきなのか?

お話ししていきます。

未来が見えてくれば、心も少しずつでも前を向けるはず!そう信じています。

化学療法による見た目の変化

抗ガン剤といっても種類は多く、副作用の出方にも違いがあり、もちろん、同じ薬を使用しても、個人により出方も変わってきます。

一般的には、抗ガン剤を使い始めて2~3週間ほどで脱毛がはじまります。

頭髪に関しては、94%ほどの方が脱毛を経験しています。ここでいう脱毛とは、頭髪の8割以上抜けた方のことを指します。

もちろん、脱毛は全身に及ぶことが多く、眉毛やまつ毛も、60%程度の方が脱毛を経験していますが、頭髪ほどは多くなく、薄くなる程度という方もいます。

抗ガン剤治療を終えてから、早い方で1ヶ月ほど、平均的には3ヶ月ほどで、髪が生えてきます。

1ヶ月に1センチほど伸びると言われており、いわゆるショートヘアになるのに、半年から1年ほどかかります。

以上がおおよその見立てです。

次に、治療を開始する前に準備しておきたいことをお話しします。

脱毛を想定しての準備

髪を短く切っておく

よく聞かれることだと思います。長い髪が抜けていくのは、衝撃が強いからだとか、抜けていく髪の掃除が大変だからとか。

もちろん、どちらも正しい意見です。

その他にも理由はあります。

脱毛が始まるということは、毛根が弱っていくことでもあるので、髪同士が絡まりやすくなります。

ブラシでときほぐすのは一苦労で、最悪、絡まり合った部分を切り落とさなければいけなくなる場合もあるのです。

だからといって、事前に剃ったり、あまりに短くしてしまうと、脱毛した髪が衣服に落ちて、チクチク刺さります。

ですから、ここは少し冷静になり、治療後の発毛を想像してみて下さい。

まずは生え揃ってきたら、ショートヘアに整えますよね。

そのイメージでカットしてみるのです。すると見立てができ、心も前向きになりませんか。

ヘアカラーやパーマは控えておく

脱毛すると頭皮が敏感になります。

事前に刺激の強いヘアカラーやパーマは控えておいた方が良いですね。

自毛回復期まで、しばらくおしゃれは取っておきましょう。

ウィッグを用意する

脱毛=ウィッグを用意しないと!と思われるかもしれませんが、その前に注意点をお話ししたいと思います。

まずは、普段おしゃれで使う帽子やアクセサリー感覚のウィッグとは違いがあります。

「医療用ウィッグ」といわれる専用のものがあるのです。

まずは、基礎知識として。

ウィッグは、既製品ですぐ使えるものから、フルオーダーで、出来上がるまでに1か月ほどかかるものまであります。

素材も、人毛を使用したものから、人工毛、二つを組み合わせた混合毛とあるのです。

どれを選ぶかによって、手入れやセットの手間が変わってきますし、その手間の分、装着したときの自然さや見た目の美しさにも違いが出てきます。

もちろん、価格も数万から数十万するものまでありますが、残念ながら、医療費控除の対象にならないという現実もあります。

ですから、治療中も働き続けていたり、周りの人に気付かれたくないなど、あなたのご事情と、お金のこと、手入れにかけられる時間や体力といったことを総合的に考えて、ウィッグ選びをしないといけませんね。

また実用的な話としては、今、髪がある時点で装着した感じと、脱毛後では、頭が1~2センチ小さくなる場合があります。

更にその後、自毛回復期には、再び装着感が元の状態に近付いていきます。

そのトータルの期間は、人により1年~数年かかるものです。

よって、サイズ調整ができるものがお勧めですよ。

更に見た目だけではなく、長く使うものなので、裏のネット部分も重要になってきます。

治療中は体調の変化があったり、また脱毛すると、頭皮が暑さ寒さをダイレクトに感じるため、汗や皮脂も出やすくなります。

ですから、裏のネットが締め付け過ぎず、肌触りや通気性の良さも大切になります。

まずは試着してみて、見た目だけではなく、装着具合も確認することをお勧めします。

最後に、需要が高くなってきた医療用ウィッグは、粗悪品も出回るようになってきました。

そのため、経済産業省が2015年4月に「医療用ウィッグJIS(日本工業規格)」を制定し、ウィッグ本体と付属品の性能・品質・安全性を示しています。

それに則って作られているものなのか、購入前に確認をする必要がありますね。

帽子を用意する

先にお話しした通り、脱毛により頭皮環境は変わります。

体調や天候により、ウィッグが付けられないときもあるでしょう。

そんな時、頭皮を守るためには帽子が最適です。

外に出るときには、日射しを避けるためにも、つばが広く目深に被れるものを。

室内では、頭皮を守ってくれるニット帽を。

季節により、毛糸だったり綿素材といった使い分けが必要ですね。

就寝用には、結び目のないニット帽で頭を守りつつ、快適さを求めたいですね。

時期によりバンダナを使ったり、より自然に帽子を被るためにも、つけ毛を用意して、組み合わせてみてもいいですね。

次は、治療が始まってから、少しでも体への負担を減らしつつ、治療後を見据えた注意点をお伝えします。

治療中に注意すべきこと

抗ガン剤を使い始め、脱毛がはじまったら、最初の10日ほどは、使い捨ての紙キャップを利用することをお勧めします。

特に就寝時は、使い捨てキャップとプラスして、枕にタオルを巻いておきます。起床時にタオルに付いた髪をはらうだけで、お掃除が済みますね。

また、料理などをする際にも、抜け毛が落ちることを気にしなくて済みますよ。

更に身近に、コロコロを置いておくおくことで、すぐに落ちた毛を取ることもできます。

お風呂の排水溝には、使い古しのストッキングを張っておけば、お掃除が楽になりますね。

次に、頭皮ケアについてです。

先にお話しした通り、頭皮から汗や皮脂が出やすくなるため、毛穴も詰まりやすくなります。

一方で、一度傷ができてしまうと治りにくかったり、皮膚が刺激に弱くなっています。

手にシャンプーを取り、しっかりと泡立ててから、指の腹を使い、優しく洗うようにしましょう。なるべくなら、低刺激のシャンプーに替えたり、洗顔フォームやボディーソープを使っても良いですね。

リンスやトリートメントは少しお休みし、育毛剤も刺激が強過ぎるので、自毛回復期になるまで待ちましょう。

ドライヤーを使う場合にも、熱風は刺激が強いので、軽く冷風を使う程度で。

また、育毛を期待しマッサージをと考えるかもしれませんが、残念ながら、抗ガン剤治療中は効果が期待できません。

リラックスを目的とするなら、医師に相談の上、体調の良いときに行いましょう。

その他のケアについて

先にお話しした通り、眉毛も抜け落ちてしまうことがあります。

その場合、外出時にはアイブロウで自然に足してあげると良いですね。

眉毛がしっかりしていると、ご自分の顔を見ても、気持ちが上向きになりますよね。

まつ毛もまた、付けまつげをと考えられるかもしれませんが、接着剤が普段以上に刺激になる場合もあります。

ほんの少量で試してからの方が良いですね。

本当に気を付けるべきことは、まつ毛本来の役割として、目にゴミが侵入するのを防いでくれるという点です。

やはり、まつ毛が抜けてしまっているときは、目を保護するために、花粉症対策眼鏡などを活用したり、また鼻もマスクで保護することをお勧めします。

更に、爪ももろく割れやすくなります。

一方で、皮膚にできた傷が回復しにくい時期でもあるため、爪は短くしておく方が賢明です。

爪切りでは割れやすくなってしまうので、ネイル用のヤスリを利用してみて下さいね。

最後に

ガンという病に打ち勝つためとはいえ、治療の副作用による体調の悪さに加えて、外見の変化は非常に辛いと思われることも多いでしょう。

そんなときは、医師や看護師、薬剤師、医療コーディネーターなど医療関係者に打ち明け、悩みを聞いてもらうべきです。

どうぞ溜め込まないで下さいね。

そして、気分が上向いたときには、自毛回復期を想像し、今その未来のためにすべきことを、着実に、少しずつでも行っていただければと思います。

明るい未来を信じて!