キャスターオイルは女性のためのオイル!薄毛にも大活躍
「キャスターオイル」という油を知っていますか?日本ではあまり使われていませんが、欧米では一家に1本ともいわれるくらい、万能なオイルです。
最近は通販などで簡単に手に入れられるこのオイルには、髪を健康に保つ働きがあるんです。
今回は、キャスターオイルの様々な力について解説しましょう。
キャスターオイル(ひまし油)とは
まずは、キャスターオイルがどんなものか簡単に説明します。
キャスターオイルの産地
キャスターオイルは日本では「ひまし油」と呼ばれ、トウダイグサ科ヒマ(トウゴマ:唐胡麻)の種から抽出される、アフリカ原産の植物オイルです。
現在の主な生産国はインド、ブラジル、中国で、世界の全生産量の約7割をインド製が占めます。
地域によって中国種、アフリカ種、ペルシャ種など様々な種類(亜種)がありますが、成分はどれもほぼ同じです。
日本に入って来るのは、ほぼ100%がインドからの輸入です。
キャスターオイルの成分と用途
キャスターの種子は、油分(脂肪酸)が約50%、穀皮が約25%、タンパク質が約25%です。脂肪酸の組成は以下のようになっています。
脂 肪 酸 組 成 | 含 有 量 |
リシノール酸(リシノレイン酸) | 87.0~91.0% |
リノール酸 | 4.0~5.0% |
オレイン酸 | 2.5~4.0% |
パルミチン酸 | 0.5~1.5% |
ステアリン酸 | 0.5~1.5% |
リノレン酸 | 0.5~1.5% |
ジヒドロキシルテアリン酸 | 0.5~1.5% |
ほとんどの有機溶剤に溶けるという、他の植物オイルにはない特徴があり、オイルのまま、あるいは熱分解、酸化、水素添加、硫酸化など様々な方法によって使われています。
身近なところでは、「固めて捨てる」油の凝固剤、湿布薬、石けん、ポマード、スポンジ、印刷インク、医薬品、化粧品などがあり、実は私たちの生活に密着しているオイルなんです。
なお、キャスターオイルは食用として使用されることはありません。酸化されやすく熱によって変質してしまうことと、腸のぜん動運動を非常に強めるため、下痢をしやすいからです。ただし、アメリカや日本薬局方ではその働きを利用して、今でも下剤として販売されています。
キャスターオイルのテクスチャー
このオイルはかなり粘度が高く、蜂蜜のようにトロッとしています。また、未精製のものはかすかにナッツのような香りがあります。
流動点(固まる温度)はマイナス22℃なので冬でも固まることはありませんが、粘度が高いため、特に冬は少々伸びが悪くなります。しかし、入浴中や温まった肌に使う分には問題なく、粘度の低い別のオイルと混ぜれば冬でも大丈夫です。
キャスターオイルの特徴
キャスターオイルが欧米でよく使われているのは、こんな働きがあるからです。
デトックス作用
下剤として使用されることからもわかるように、このオイルには毒素の排泄促進作用があります。
腸の働きを高めることで、体内に蓄積された老廃物が排出されやすくなります。また、このオイルでマッサージすると内臓が強化され、血液やリンパ液の循環が良くなるといわれています。
アメリカ人の心霊診断家エドガー・ケイシーがこれを温湿布に使用し、広くその効果が知られるようになりました。
鎮痛・抗炎症作用
この働きは、主成分のリシノール酸によるものです。リシノール酸には鎮痛や抗炎症の働きがあるため、腰痛や坐骨神経痛、リウマチなどの患部に塗ることで、症状が緩和するといわれています。
また、歯痛にも良く、ヘアメイクアーティストの藤原美智子さんはキャスターオイルを歯茎に塗って、歯槽膿漏手術後の炎症や痛みが緩和したとブログで書いています。
スキンケア作用
皮膚の毒素も取り去るため、シミやいぼ、ほくろ、ソバカスなどの除去効果があるといわれています。皮膚科医の渡辺奈津さんもお勧めの方法で、彼女も肌の調子がとても良くなったそうです。
なお、キャスターオイルだけをそのまま薄く塗るだけでも良いのですが、最近評判になっているのが重曹と混ぜて使用する方法です。
アメリカでは「カソーダ(Casoda)」として販売されており、製品にもしっかり「ほくろ、ニキビ、アザ、たこ、イボの除去」と書かれています。
日本でも多くの女性がシミ取り効果を期待して使用していますが、刺激が強めなので肌が弱い方はかえって炎症を起こす場合があり、注意が必要です。
また、キャスターオイルをシワやニキビ痕に根気よく塗っていると、徐々に薄くなっていくとされています。
キャスターオイルには皮脂と同じ成分が含まれているため、肌内部への浸透性が高く、乾燥して硬くなった皮膚の柔軟性を取り戻してくれるのです。
髪の健康にもキャスターオイルが効果的
たくさんの効能・効果があるキャスターオイルは、髪の健康にも薄毛改善にも効果が期待できます。
その理由にはこのようなものがあります。
粘度が高く肌に長く留まる
キャスターオイルは粘度が高いため、一度頭皮に塗ると長時間留まり、水分の蒸発を防いでくれます。
頭皮が乾燥するとフケやかゆみ、炎症の原因となり、頭皮環境の悪化から髪の成長に支障が出やすくなります。
そこでこのオイルを薄く塗ると皮膚バリアとなり、頭皮のうるおいを保ってくれるのです。
血行が促進され栄養が届く
髪の毛は、毛穴奥の毛母細胞が新陳代謝によって細胞分裂を繰り返すことで伸びていきます。
しかし頭皮が乾燥すると硬くなり、その下にある毛細血管が圧迫されて血流が悪くなります。
すると毛母細胞に充分な栄養が届かなくなるため、髪が弱くなったり抜けやすくなったりします。
キャスターオイルで頭皮表面にうるおいがあると、毛細血管が充分伸縮することができ、栄養が毛母細胞にしっかり届きます。
すると薄毛の予防や改善に効果が期待できるのです。
オレイン酸が髪を補修する
オレイン酸はオメガ-9脂肪酸の一種で、髪の表面にあるキューティクル同士を密着させる作用があります。
キューティクルは、髪のケラチンタンパク質や脂肪酸、水分が逃げ出さないよう保護するうろこ状の組織で、健康なキューティクルはうろこ同士が密着しています。
しかし、摩擦やパーマ、カラーリングなどでダメージを受けやすく、すぐにキューティクルが開いたり剥がれたりしてしまいます。
オレイン酸にはキューティクル同士をしっかり密着させる働きがあるので、髪の成分が逃げ出しにくくなります。
また、枝毛や切れ毛も予防します。
オレイン酸を配合した製品で、ダメージ毛の水分蒸発量が健康な毛髪以上に減少したという実験結果もあります。
抗菌作用で頭皮環境を整える
頭皮には様々な雑菌が生息しています。これらの多くは頭皮を弱酸性に保つために必要なものですが、増えすぎるとフケやかゆみ、炎症などの原因となります。
キャスターオイルには抗菌作用があるので、雑菌の異常繁殖を防ぎ、頭皮環境を整えてくれます。
キャスターオイルを使用する際の注意点
美髪にも健康にも良いキャスターオイルですが、注意点もあります。
アレルギーを起こす危険性
キャスターオイルのアレルギー性に対する2000年のデータでは、76名の被験者に対し1名に翌日のみ陽性反応が出たという結果が出ています。
2日目以降はこの1名にも反応が出なかったということなので、アレルギー性はほぼないと考えられます。
しかし1983年、口紅に含まれるキャスターオイルがアレルゲンとなって、唇の腫れや発赤が出た人が横浜市で確認されています。
これまでに何らかのアレルギー反応が出た経験がある場合は、事前にパッチテストを行なうようにしましょう。
敏感肌は刺激がある場合も
アレルギーではないものの、敏感肌の場合は脂肪酸が刺激となる場合があります。
そのため、最初はほんの少量を、できれば他のオイルと混ぜて使用しましょう。
つけすぎるとべたつくので注意
キャスターオイルを薄毛予防・改善に使用する場合、ほんの少量を指に伸ばし、頭皮を軽くマッサージすれば充分効果が期待できます。
粘度が高いので、つけすぎると頭皮や髪がべたつきますから注意しましょう。
酸化しやすいので使用は夜、冷暗所に保管
キャスターオイルは、直射日光に当たると酸化しやすくなります。
そのため、使用する際は夜がお勧めです。日中使用した場合は、外出前に表面をホットタオルなどで拭き取りましょう。
また、直射日光に当たらないよう冷暗所で保存し、早めに使い切るようにしてくださいね。
まとめ
欧米では、スキンケアやヘアケアに欠かせないキャスターオイル。
日本でも「ひまし油」として古くから工業用には使用されていたものの、肌や頭皮に良いと知られるようになったのはつい最近のこと。
薬ではないので、すぐに効果を期待する人には向きませんが、数か月後には抜け毛が減った、髪にハリやコシが出て来た、といった変化に気づくはずですよ。