細毛で悩んでいる女性は少なくありません。10代や20代でも半数以上が細毛で悩んでいるという統計もあり、ヘアスタイルが決まらない、貧相に見えるといった他、将来薄毛になるのではないか、という不安もあるようです。
しかし、生まれつきの細毛と年とともに細毛になっていくのでは全く違いますし、薄毛になりやすいかどうかも違います。
その差は何か、どういうケアが良いのか、解説します。
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生まれつきの細毛の人の髪の構造
日本人の髪の毛1本の太さは0.05~0.15ミリ程度といわれ、かなり幅があります。
このうち、0.06ミリ以下を細毛という場合が多いようです。
なぜ太さにこれだけの差があるのでしょうか。
細毛かどうかはコルテックスで決まる
髪の毛は、一番外側がキューティクル、その内側がコルテックス、中央にメデュラという3構造になっています。
このうちコルテックスが髪の最も大切な部分で、タンパク質や脂質、水分、メラニン色素などが含まれており、髪の8~9割はこのコルテックスです。
髪の太さやしなやかさ、強さなどを決めるのはこの部分です。
そのため、コルテックスが少ないと、髪は細い猫っ毛になりやすくなります。
この部分は遺伝で決まっているといわれ、親が細毛であれば子供もその遺伝子を受け継ぎ、細くなりやすいのです。
キューティクルの厚みや枚数も関係する
髪の表面にあるキューティクルは、コルテックス内の成分が逃げ出すのを防ぐとともに、髪にツヤを与えたり手触りを良くしたりする組織です。
ウロコ状になっており、数枚が重なり合っています。
少ない人は2枚程度、多い人は9~10枚あるといわれます。
キューティクルの厚みや枚数も太さに関係しており、枚数が少なく厚みもないほど、髪は細くなります。
この枚数や厚みも遺伝によって決まっているといわれています。
ちなみに、欧米人は日本人に比べ髪が細く、平均すると0.05ミリ程度です。
コルテックスも細く、キューティクルも薄めです。
しかしキューティクルのウロコ組織同士の密着度は日本人のほうが低く、ダメージを受けやすいといわれています。
生まれつき細毛の人が薄毛になりやすいとは限らない
細毛の人の多くはハリやコシがないのでボリュームもないため、将来頭皮が透けて見えるのではないか、と不安を感じている女性が多いようです。
しかし、生まれつきの場合は髪が不健康な訳ではなく、それがその人にとって「普通」なのです。
確かに元々剛毛・太毛の人に比べれば薄毛になる可能性は多少は高くなりますが、細いというだけで薄毛になる訳ではありません。
最近細くなってきた…危険なのはこういう女性
子どもの頃は結構太くてボリュームもあったのに、最近どうもヘアスタイルが決まらない、朝セットして出かけると夜まで持たなくなってきた、という場合は、危険かもしれません。
こんな場合は、危険信号です。
抜け毛の量が明らかに増えた
一般的に、髪の毛は1日50~100本抜けるといわれています。
また、秋口は抜け毛が増えることが多く、中には200本以上抜けることもあります。
これは夏の紫外線や夏バテによる栄養不足などが原因と考えられ、この季節だけの現象であれば心配することはありません。
しかし、秋でもないのに明らかに抜け毛が増えたという場合は、髪の健康状態が悪くなっているということです。
抜けた髪が短い
髪の毛には寿命があり、女性の場合は4~6年程度といわれています。髪の成長速度は1ヶ月で1~1.5センチが平均ですから、1年で12~18センチ伸びることになり、抜けるまでに最低でも50センチになる計算です。
実際にはその間に何度もカットするでしょうから、ロングへアの人以外はそんなに長い抜け毛があることはないでしょう。
しかし、カットした長さより短い髪の毛が抜けている場合は、成長途中で抜けてしまったということになります。
例えば、その長さが3センチだったとしたら、本来の寿命が4年以上のところ、たった2~3ヶ月で一生が終わってしまったということになるのです。
抜けた髪が細い
髪の毛はどれもが同じ太さということはなく、細い毛と太い毛が混在しています。
しかし抜けた髪がどれも細いという場合は、短い抜け毛と同様成長途中で抜けたということです。
抜け毛の根元が膨らんでいない
髪の毛の根元には毛乳頭や毛母細胞、色素細胞メラノサイトなどが詰まっていて、ちょっと丸くマッチ棒のような形をしています。
抜けた髪を毛先から根元に向けて触ってみて、膨らみを感じないようなら、栄養不足で抜けてしまった可能性があります。
この場合も、放置すると薄毛になる確率が高いでしょう。
フケやかゆみ、炎症などがよく起こるようになった
最近頭がかゆいからと、無意識のうちに掻いていませんか?
あるいは、フケが気になり出したことはありませんか?そういったことが頻繁に起こるようであれば、頭皮環境が悪くなっている証拠です。
原因には紫外線や洗浄力の強すぎるシャンプーによる乾燥、雑菌の異常繁殖などがありますが、すべて薄毛を引き起こす原因となります。
細毛を改善して薄毛を予防するには
ここでは、細毛を招く原因とその対策方法について解説しましょう。
原因1:食生活の乱れ
飽食の時代といわれる現代ですが、実は栄養失調の女性が増えています。
極端なダイエットや好きなものばかり食べるような食生活を送っていると、髪に必要な栄養素が不足します。
その結果、髪の成長が止まってしまうのです。
<対策方法>
まずは、炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルのバランスが取れた食事を心がけましょう。
髪の毛に栄養が回ってくるのは最後なので、栄養不足になるとすぐ髪の毛にトラブルが起こりやすくなるのです。
その上で、髪の主成分であるタンパク質と、それを髪の毛のケラチンタンパク質に変化させるために必要な亜鉛やビタミンB群を意識して摂りましょう。
お勧めは、大豆製品です。大豆にはタンパク質、亜鉛、ビタミンB群など多くの栄養素が含まれている上に、女性ホルモンに似た作用をするイソフラボンが含まれています。
女性ホルモンには髪の成長を助け寿命を伸ばす働きがあるので、積極的に摂りましょう。
また、ビタミンやミネラルはサプリが販売されていますから、食生活の改善が難しい場合は利用することをお勧めします。
原因2:睡眠不足
眠っている間は、成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンは子供だけでなく、大人にも大切なホルモンで、髪の毛に関しては日中受けたダメージを回復させたり、髪の新陳代謝を促進させたりする働きがあります。
そのため、睡眠不足は頭皮や髪の毛のダメージを悪化させてしまうのです。
<対策方法>
成長ホルモンは熟睡中、しかも入眠後最初の30分~3時間の間に集中的に分泌されます。
そのため、ベッドに入ってすぐに眠りにつけない場合は改善が必要です。
寝る直前まで脳を興奮させるようなこと、例えばスマホやパソコンの操作やTVの視聴などは交感神経を活性化させるため、なかなか寝付けなくなったり眠りが浅くなったりしてしまいます。
寝る2時間くらい前からは、のんびり入浴したりアロマを嗅いだり、ヨガやストレッチをしたりと、できるだけ脳をリラックスさせましょう。
原因3:運動不足
熱を生み出すのは運動で、その熱が血液を通して全身に送られます。
そのため、運動不足になると全身が冷えやすくなり、さらに血管が収縮してしまうので血流も悪くなってしまいます。
その結果、頭皮に栄養が届かなくなり、髪の毛を成長させることができなくなると、髪の毛がどんどん細くなってしまうのです。
<対策方法>
ハードな運動をする必要はありません。毎日の生活の中でできること、例えば一駅分歩く、早足で歩く、階段の昇り降りをする、といったことでも十分運動になります。
また、家事や仕事の合間に思い切り身体を伸ばしたり前屈・後屈をしたりするのも、筋肉をほぐして血行を良くします。
原因4:ストレス
女性の薄毛の大きな原因は、ストレスです。ストレスは交感神経を活性化させるため、血管が収縮して血流が悪くなります。
さらに、自律神経と成長ホルモンや女性ホルモンは脳の同じ部分で調整されているため、ストレスで自律神経が乱れると、成長ホルモンや女性ホルモンの分泌量にも影響が出てしまうのです。
<対策方法>
ストレスを完全になくすことは不可能ですが、少しでも解消する方法を見つけましょう。
友達と心置きなく話す、カラオケで思い切り歌う、森林浴をする、温泉でゆったりする、ひたすら寝るなど、自分なりの方法を見つけましょう。
生まれつき細毛の人はケアをしっかり
元々細毛の人は、キューティクルの層が少ないことが多いです。
そのため、紫外線によるダメージや摩擦などで剥がれてしまうと、コルテックス内のタンパク質などが流出し、どんどん細くなったり切れ毛になったりしやすくなります。
そこで、できるだけキューティクルを守ることが大切です。
それには、こんなケア方法が効果的です。
・シャンプーはアミノ酸系の洗浄力が穏やかなものを使う
・髪の乾燥を防ぐためにヘアオイルなどを使用する
・ブラッシングは獣毛や静電気防止加工のしてあるブラシを使用する
・パーマや2剤式のカラーリングは極力回数を減らす
さらに、細毛でもハリやコシをキープするために、頭皮マッサージも併せて行ないましょう。
頭皮の血行が良くなれば、栄養が充分髪の毛に届くようになります。
もちろん、これらは最近になって細毛になってきた人も同じです。
髪の毛は太くても細くても、しっかりケアすれば健康に育ってくれますよ。