育毛剤といえば男性をイメージしますが、近年薄毛に悩む女性が増えるに従い、女性用の商品も増えてきました。
現在は市販品やネット通販の商品を合わせると、50種類以上あるといわれています。
しかし、逆に多すぎてどれを選んだらよいか迷いますよね。
そこで今回は、成分の一つ「アルコール(エタノール)」について解説します。
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女性用育毛剤は「アルコールフリー」が主流
女性用育毛剤の多くは、アルコールを添加していません。
男性用育毛剤のほとんどには配合されているのに、なぜでしょうか。
アルコールは刺激が強め
アルコールは成分名では「エタノール」と書かれています。
濃度によって違いはあるものの、皮膚への刺激があります。
特に乾燥肌や敏感肌の女性が使用すると、肌荒れを起こしやすくなります。
これは「刺激性接触皮膚炎」といい、化学物質によって皮膚が損傷してしまうのです。
刺激が少ないとされる石けんでも、繰り返し使用することで皮膚が刺激を感じてしまうことがあります。
アルコールの場合、脱脂力と脱水作用があるため、乾燥肌の女性は肌荒れを起こしやすくなるのです。
アルコール過敏症の女性が多い
アルコール過敏症とは、アルコールを摂取すると皮膚がほてったり、動悸や頭痛、吐き気などを起こしたりする人を指します。
主に飲んだ時に発症しますが、中には触れただけで皮膚が炎症を起こしたりかゆみを感じたりすることもあるのです。
アルコール過敏症は遺伝性で、アルコールを分解する酵素の働きが弱い体質のために起こります。
特に日本人は世界的に見て最も分解酵素が少ない民族といわれ、分解酵素の働きが非常に弱い人が40%、分解酵素が全く機能しない人が4%という統計があります。
そういった人がアルコール(エタノール)配合の育毛剤を使用すると、頭皮が炎症を起こしてかえって抜け毛の原因になることがあります。
アルコールアレルギーの場合は最も危険
アルコール過敏症に似たものに、アルコールアレルギーがあります。
過敏症が量によって反応の度合いが違うのに対し、アレルギーの場合はにおいを嗅いだだけで反応が出てしまいます。
かゆみや炎症程度の場合もあれば、じんましんや呼吸困難、アナフィラキシーショックなど重症になる場合もあります。
これらの症状は男性にも起こりますが、多くは女性です。そのため、長期間使用する女性用育毛剤には、アルコールフリーのものが多いのです。
アルコールは悪者?育毛に大きなメリットも
女性用育毛剤はアルコールフリーが主流ですが、逆に男性用はアルコール入りがほとんどです。
清涼感が男性に好まれるという理由もありますが、育毛にも大きなメリットがあるのです。
余分な皮脂を除去する
男性ホルモンには皮脂分泌量を増やす作用があるため、総じて男性の頭皮は女性よりべたつきやすくなっています。
そのため、女性にとってのデメリットであるアルコールの脱脂作用は、男性にとっては大きなメリットとなるのです。
これは、シャンプーしてもすぐ頭皮や髪が脂っぽくなる女性も同じことです。
女性の体内にも男性ホルモンがあり、ストレスが多いと男性ホルモンが活性化して皮脂分泌量が増えてしまいます。
すると、過剰な皮脂が髪を産み育てる毛母細胞にダメージを与えてしまいます。
皮脂が多いと紫外線によって酸化しやすくなり、過酸化脂質に変化します。
それが毛穴内に入り込むと毛母細胞が炎症を起こし、細胞分裂や増殖機能が低下してしまうのです。
血行促進効果が高い
アルコールには温熱効果があり、ある実験では皮膚表面温度が5℃も上昇したという結果が出ています。
頭皮の表面の温度が上がると、その下にある毛細血管が拡張し、血流が良くなります。すると頭皮に充分な栄養と酸素が届き、髪が育ちやすくなるのです。
また、酸素は皮膚の新陳代謝の際に不可欠なものなので、血流が良くなれば毛母細胞の新陳代謝も促進され、細胞分裂が早くなるため髪が伸びやすくなる効果も期待できます。
殺菌・抗菌作用がある
頭皮にはマラセチア菌という常在菌が生息していて、皮膚を弱酸性に保っています。
しかしこの菌は皮脂をエサにしているため、皮脂分泌量が増えると菌も異常繁殖してしまいます。
するとかゆみや炎症を起こしたり、毛穴に入り込んで髪の成長に悪影響を与えたりするのです。
また、シャンプー後頭皮をドライヤーでしっかり乾かさないで寝てしまう場合も、頭皮が雑菌の温床になってしまいます。
雑菌は湿度が高いほど繁殖しやすいので、寝具についている雑菌が蒸れた頭皮にうつると、かゆみや炎症、フケなどの原因となります。
アルコールには殺菌・抗菌作用があるため、マラセチア菌などの雑菌の異常繁殖を食い止める効果があります。
特に頭皮が脂っぽくなりやすい人は、男女に関わらずアルコール(エタノール)入りの育毛剤のほうが頭皮環境を良くしてくれるのです。
収れん作用がある
頭皮が脂っぽい人に多いのが、毛穴の広がりです。
皮脂腺は毛穴内にあり、毛穴が広がっていると皮脂が分泌されやすくなるのです。
また、女性は男性に比べ髪が長めなので、その重みでも毛穴が広がりやすくなっています。
さらに、加齢によってコラーゲンやエラスチンが減少するので、頭皮の柔軟性がなくなって毛穴が閉じなくなってくるのです。
そんな頭皮には、アルコール入り育毛剤のほうが良いかもしれません。
アルコールには皮膚の収れん作用があるため、毛穴を引き締め皮脂分泌量を少なくする効果が期待できます。
また、毛穴が引き締まると髪の毛をしっかりホールドしてくれるので、
牽引性脱毛症(髪の毛を常に結んでいることで起こる抜け毛)を防ぐこともできるのです。
育毛剤の油性成分と水性成分を分離させない
育毛剤には多くの育毛作用のある成分が配合されていますが、油性成分と水性成分はそのままでは混ざらず、成分が均等になりません。
そこでアルコールを配合すると両方を馴染ませることができ、わざわざ振ったりしなくても複数の成分がムラなく出てくるのです。
育毛剤の品質劣化を防ぐ
アルコールは抗菌・殺菌作用があることから、防腐剤としての効果もあります。
販売される育毛剤には、必ず防腐作用のある成分を配合しなくてはなりません。
そこでよく使われるのがパラベンやフェノキシエタノールですが、どちらも配合量に制限が設けられており、皮膚が弱い人には刺激となります。
エタノール(アルコール)にも刺激性はあるものの、これらの成分と違い配合量制限がないことから、より刺激が少ないと考えられます。
脂性肌の女性はアルコール入りを使ってみましょう
女性用育毛剤の多くは、アルコールフリーを謳い文句にしています。
しかし、乾燥肌や敏感肌の人には向いても、脂性肌の場合には今一つ効果が実感できないかもしれません。
そんな場合は、アルコール入りの商品を試してみるのも一つの方法です。
お勧めなのが、「男女兼用」と書かれている、アルコール配合の育毛剤です。
男性用育毛剤にはAGAと呼ばれる男性特有の薄毛に効く成分が配合されているものが多く、女性が使用してもあまり効果は期待できません。
しかし、男女兼用ならAGA対策用の成分は配合されていないかわずかで、血行促進や頭皮環境の改善に良いとされる成分が中心になっています。
そのため、女性の薄毛にも働きかけてくれるのです。
さらに、女性でも使用できるようアルコール濃度はそれほど高くないため、刺激を感じることもほとんどありません。
成分表をチェックし、「エタノール」「無水エタノール」と書かれたものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
女性用育毛剤について書かれた記事を読むと、「アルコールフリーのものを選ぶ」よう勧めているものがほとんどです。
しかし、シャンプーしてもすぐ髪や頭皮がべったりしてしまう脂性肌の女性は、アルコールが入っていないことが成分の効果を弱めてしまっている可能性があります。
使用前にパッチテストでアレルギーや過敏症でないか確認し、問題なければ一度使ってみてはいかがでしょうか。