女性の薄毛

タバコは女性のお肌に悪い…ということは頭皮にも?抜け毛や薄毛の原因に

タバコがお肌に良くないことはよく知られていますが、髪の毛にも悪影響を及ぼすことをご存知ですか?
どんなに一所懸命ケアしても、タバコはそれを台無しにしてしまうんです。

今回は、愛煙家の方はもちろん、副流煙に悩む方にも知っておいていただきたい情報をまとめました。

タバコにはどんな成分が含まれている?

タバコといえばニコチンとタールが有名ですが、実は200種類以上の有害成分が含まれています。
一例を挙げると、以下のような成分が入っています。

タバコの成分
成分を含む物質
アセトン
ペンキ落とし、除光液
ヒ素
農薬、木材の防腐剤
カドミウム
顔料、ニッカド電池
ホルムアルデヒド
防腐剤、接着剤、塗料
メタノール
代替自動車燃料、接着剤、ホルマリン
フェノール
消毒剤、プラスチック、染料
トルエン
工業用溶媒

これらの成分は工業用成分として私たちの身近で使われていますが、どれも体内に入ると有害で、血液障害や脳障害、発がん性などの危険性があります。

有害成分の中で3大危険成分といわれているのが、ニコチン・タール・一酸化炭素です。

ニコチンの作用

ニコチンが体内に入り込むと、まず脳内のドーパミンやβ-エンドルフィンなどが増えます。
これらには快感や幸福感をもたらす働きがあります。

さらに、アドレナリンの分泌量を増やし、交感神経を活性化し興奮状態になります。
これらの作用によって、タバコを吸うとリラックスしてストレスが緩和し、やる気が出るのです。

しかし、この効果は30分程度しか続かず、反動でイライラや落ち込み、脱力感などの離脱症状が出てしまいます。
するとそれを解消するためにまたニコチンを取ってしまうため、依存性が非常に高いのです。

ニコチンの依存度はヘロインやコカインなどのドラッグより強く、肉体的な害は強くないものの、精神への影響は非常に高いといわれています。

タールの作用

タールはいわゆる「ヤニ」のことで、粘り気のある成分です。

タールが肺に入ると壁面にへばりつき、長期間取れません。
すると呼吸がしづらくなって酸欠状態を引き起こし、呼吸不全などの症状から肺気腫を引き起こすこともあります。

また、タールには多くの発がん物質を含んでいるといわれ、肺がんの原因となることがわかっています。

一酸化炭素の作用

一酸化炭素は、血中のヘモグロビンと結びつきやすいという特徴があります。

本来ヘモグロビンは酸素と結合し、全身に酸素を供給しているのですが、一酸化炭素と結合してしまうと体内が酸欠状態になってしまいます。

すると細胞が新陳代謝できなくなったり脳が低酸素脳症となったりして、最悪の場合心停止や呼吸停止に陥ることもあります。

タバコの副流煙はさらに危険

タバコの副流煙には、主流煙よりはるかに多く有害物質が含まれていることが報告されています。

一例を挙げると、ニコチンが2.8倍、タールが3.4倍、一酸化炭素4.7倍、ホルムアルデヒド50倍、カドミウム3.6倍となっており、タバコを吸っている人より悪影響を受けやすいのです。

タバコが髪に与える10の悪影響

タバコの主流煙や副流煙が身体に悪いことはおわかりいただけたと思いますが、髪や頭皮にはどのような影響があるのでしょうか。

①交感神経が活性化し血流が悪くなる
ニコチンには副交感神経と交感神経を同時に活性化する作用があり、精神はリラックスしていても肉体は緊張し硬くなります。

血管は交感神経の影響を受けて収縮し、血流を低下させてしまいます。
すると頭部まで充分な栄養が届かなくなり、抜け毛や薄毛、白髪などの原因となるのです。

②交感神経は頭皮環境を悪くする
交感神経には、血管を収縮させるほか、皮脂の分泌量を増やす働きがあります。
頭皮にはマラセチア菌という真菌が常在しており、頭皮を弱酸性に保っています。
しかし、この菌は皮脂をエサにして増殖すると、遊離脂肪酸を放出して頭皮を酸化させてしまいます。

この脂肪酸が毛穴に入り込むことで、毛母細胞がダメージを受けて髪の成長を止めてしまうのです。

③酸素不足で新陳代謝できなくなる
細胞の新陳代謝には、大量の酸素が消費されます。
そのため、一酸化炭素によって酸欠状態になると、髪を産み育てる毛母細胞が新陳代謝できなくなります。
毛母細胞は自身を分裂させることで髪を伸ばしていくため、髪が伸びにくくなったり、成長途中で抜けてしまったりします。

④頭皮が硬くなり血管を圧迫する
交感神経によって頭皮が緊張し、さらに酸欠状態で新陳代謝できなくなると、古い角質が溜まりどんどん硬くなっていきます。
すると頭皮表面から数ミリの部分にある毛細血管が圧迫され、血液を毛根部の細胞に送れなくなり、髪の成長を妨げてしまうのです。

⑤細胞が突然変異する可能性も
タールには、細胞を突然変異させるという特徴があります。
これが毛根部の毛細血管や毛乳頭、毛母細胞などに起こると、髪に栄養が送られなくなったり毛母細胞のDNAが損傷して髪質が悪くなったりして、髪にダメージを与えるのです。

⑥女性ホルモンの分泌量が減る
最近の研究で、ニコチンには卵巣機能を低下させる可能性があることがわかりました。
ニコチンの交感神経活性化によって卵巣に送られる血液が減ると、卵巣が本来の機能を果たせず女性ホルモンの分泌量が減ってしまうのです。

女性ホルモンには髪の毛の寿命を伸ばす働きがあります。
女性のほうが男性より約2年髪の毛の寿命が長いのは、このホルモンのおかげです。

そのため、タバコによって女性ホルモンが減少すると、髪が成長期途中で抜けてしまうこともあるのです。

⑦大量の活性酸素を発生させる
活性酸素には、体内に侵入した有害物を阻止する免疫機能を持っています。
ニコチンやタールなどの有害物質が体内に入り込むと活性酸素が生まれ、これらを攻撃して除去してくれます。

しかし、タバコの量が増えると活性酸素の量も増え、健康な細胞を傷つけるようになってしまいます。
毛母細胞もその影響を受け、髪の成長に悪影響を与えるのです。

⑧ビタミンCが大量消費される
喫煙によって活性酸素が大量発生すると、抗酸化作用を持つビタミンCが大量消費されます。
タバコ1本でビタミンC25mg消費するといわれており、日本人女性20~60歳までの平均摂取量78mg、男性の75.5mg(平成30年国民健康・栄養調査)からすると、3本吸ったらほぼすべてなくなってしまうことになります。

ビタミンCにはコラーゲンの生成を促進する働きがあり、不足すると頭皮が弾力性を失い硬くなってしまいます。
すると毛細血管が圧迫され、薄毛や抜け毛になりやすくなります。

⑨成長ホルモンの分泌量が減る
成長期にタバコを吸うと背が伸びない、といわれますが、これは成長ホルモンの分泌量が減るからです。
一酸化炭素の影響で脳が酸欠状態になると、ホルモンの分泌を指令する脳の下垂体の機能が低下し、ホルモンバランスが崩れてしまうのです。

成長ホルモンには傷ついた細胞を修復し新陳代謝を促す作用があります。
分泌量が減ると頭皮の細胞のダメージがなかなか治らず、その結果髪の成長が遅くなったり抜けやすくなったりしてしまいます。

⑩血液をドロドロにする
交感神経の働きで血管が収縮すると、血管内で行なわれる中性脂肪やコレステロールの分解が遅くなり、血液がドロドロになってきます。
さらに、血中に入り込んだ活性酸素によって老廃物が吸着しやすくなり、血管が狭くなります。

すると頭皮まで充分な血液が届かなくなる上に成分も悪いため、髪の健康が損なわれてしまうのです。

百害あって一利なし!できるだけ早く禁煙しましょう

このように、タバコは吸う人にも回りの人にも悪影響を及ぼします。

すでに何年も喫煙している人の場合、依存症になっていると考えられ、禁煙は苦労するかもしれません。
しかし身体やお肌はもちろん、頭皮や髪の毛の健康を考えるなら、禁煙することが大切です。

少しずつ減らしたり、禁煙用グッズを使用したり、病院で治療を受けたりと色々方法はありますから、一日も早くタバコと手を切りましょう。