女性の薄毛には漢方がよいと言われているのをご存知でしょうか。
漢方は植物由来の成分を使用しているため副作用の可能性が低く、体に負担をかけずに薄毛を改善したいという方に特におすすめです。
そこでここでは、薄毛に効く漢方の種類や実際の効果について見ていきたいと思います。
そもそも漢方とは?
漢方とは、さまざまな種類の生薬を組み合わせ、症状に合わせてそれぞれの体質に合わせた処方を行う薬です。
漢方は何らかの不調がある体の部分だけを見るのではなく、現在の体全体の状態や各々の体質、生活習慣などを根本的に見直し、整えていくという特徴があります。
つまりひとつの症状だけを見て考えずに、今の体の状態を考えて漢方を選ぶことが大切であると言えます。
また漢方は、未病と呼ばれる原因のはっきりしない体の不調にもアプローチできるのも大きなメリットとなっています。
さらに漢方薬を選ぶ際には、症状だけでなくその人の体の現在の状態を把握することも重要です。
例えば冷え症と言っても、手足や足腰が冷えるのか、また足は冷えるのに顔はのぼせるなどの症状の違いで、使用する薬が異なります。
漢方薬と市販薬・処方薬の違いとは
一言で言えば、漢方薬は生薬、市販薬・処方薬、つまり西洋薬は化学的に合成した成分が配合されている薬です。
長い伝統と豊富な経験から作られてきた漢方は、体が本来持っている機能を高め、正常な状態に戻そうとすることを目的としています。
また部分的な症状だけを見るのではなく、体全体を見てひずみを治していくという総合的な治療であるとも言えます。
また、病院で検査をして特に異常は見当たらなかったという症状にも対応していくことが可能となっています
一方で市販薬は、症状が起きている部分に対してピンポイントで治療することを主な目的としています。
病巣そのものを見て薬により直接働きかけることで改善を目指しますが、薬を飲まなくなると元の状態に戻ってしまうこともあるため注意が必要です。
病気を診る場合は、問診や自覚症状だけではなく、検査結果なども重視されます。
ですから漢方薬と市販薬・処方薬のどちらが優れているというわけではなく、それぞれのメリットを併用することが治療にとって有効であると考えられています。
東洋医学から見た薄毛の原因は?
漢方を使用して治療する東洋医学から見ると、薄毛や抜け毛の原因は血液の不足である血虚(けっきょ)、腎の低下である腎虚(じんきょ)、過剰な熱に起こる湿熱(しつねつ)の3つに分けられます。
そこでここでは、それぞれたのタイプの特徴について詳しく見ていきたいと思います。
血虚タイプの特徴は?
血虚タイプの方は、髪の元になる血液が不足していたり薄い状態となるため、髪にコシがなくパサつきやすいと言われています。
また手足の冷えや乾燥肌に悩まされていたり、めまいや立ちくらみ、さらに不眠や不安感などの症状がある方も多く見られます。
このタイプの方は、血液を補うことで薄毛や抜け毛を改善することができます。
当帰芍薬散や婦宝当帰膠、十全大補湯など血液の流れをよくする当帰や、体を温める鹿茸が入っている漢方薬がおすすめです。
腎虚タイプの特徴は?
東洋医学において、髪と腎は深い関わりがあると考えられています。
腎とは成長や生殖を促すものであり、ホルモン代謝や生殖器、自律神経や免疫、造血などと関係があります。
ですから腎が低下して腎虚になると、ホルモンバランスが崩れたり新陳代謝が悪くなり、さらに老化も進行すると言われています。そのため白髪や抜け毛、薄毛が増えて悩む方も多いようです。
のぼせや口の渇きなどがある方には六味地黄丸、体を温める役割がある八味地黄丸、全体的に腎が弱っている場合には補中益気湯などがおすすめです。
湿熱タイプの特徴は?
体内に熱や水分が溜まっている状態が湿熱タイプです。
この状態が長く続くと、熱と湿気が頭皮環境を悪化させ、皮脂の分泌が増えて抜け毛や薄毛の原因となります。
暑がりで汗をよくかき、比較的体力がある方に多いと言われています。
またこのタイプは食生活などが原因になっている可能性があるため、脂っぽい食事を控え、なるべく運動することも重要です。
おすすめの漢方は、体の熱を取り解毒作用のある瀉火利湿顆粒や黄連解毒湯などとなっています。
薄毛に効く漢方薬の種類とは?
以下では漢方薬の中でも、特に薄毛に効果が期待できるものをご紹介していきたいと思います。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯には、ストレスによる抑うつや不安感などを軽減する効果が期待できます。
過剰なストレスは脱毛症を引き起こし薄毛の原因となるため、柴胡加竜骨牡蛎湯でストレスを軽減することができれば、薄毛の進行を抑えることができます。
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
十全大補湯には、全身の血流を良くする効果があります。
血流が悪いと頭皮まで十分な栄養が届かず、髪が栄養不足となり薄毛を引き起こす原因となります。
十全大補湯により頭皮の毛細血管の血流を改善できれば、薄毛や抜け毛への効果が期待できます。
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
人参養栄湯には、十全大補湯と同様に血流をよくして、さらに胃腸の不調を改善する効果が期待できます。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
特に女性で薄毛に悩んでいる方の中には、身体の冷えが原因となっているケースが多く見られます。
末端冷え性や冷えによる腹痛を起こしやすいなどの症状がある方には、こちらの漢方薬が特におすすめです。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯には、胃腸の調子を整える効果が期待できます。
人間は食欲が落ちると、体を維持するための栄養分が不足しがちになります。
そうすると生命を維持するのに欠かせない心臓や脳などに栄養分が先に届けられるため、髪まで行き届かなくなってしまった結果、髪は細くなり抜け毛が増えて薄毛の原因となってしまいます。
ですから食欲不振が続く場合には、補中益気湯の服用を考えることをおすすめします。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
八味地黄丸は下半身の問題に特化した漢方薬です。
腎炎により夜間の排尿回数が増えると、睡眠不足になり薄毛につながる場合もあります。
ですから夜中に何度もトイレに行く、また抜け毛や薄毛が気になる方にはおすすめです。
薄毛に効果的な漢方薬の服用方法とは?
漢方薬の効果をより高めるためには、服用方法を工夫することが大切です。
そこでここでは、漢方薬の飲み方をご紹介していきたいと思います。
空腹時に飲むようにする
市販薬や病院で処方される薬は、胃への負担を軽減するため食後に服用されるよう指示されます。
しかし漢方薬の場合は空腹時に飲むと、より高い効果が期待できるといわれています。
ただし、胃腸が弱い、また胃もたれなどを起こしやすいという方は、食後に服用しても大丈夫です。
必ずぬるま湯か水で飲もう
これまで漢方を飲んだことがある方の中には、清涼飲料水やお茶などで飲んでいたという方もいるかもしれません。
しかし漢方薬は、その独特の匂いや苦味が神経に働きかけて改善へ導くため、必ずぬるま湯か水で服用するようにしましょう。
他の漢方と一緒に飲まないようにしよう
漢方薬は市販薬に比べて副作用が起きにくいと言われていますが、同時に多くの種類の漢方薬を服用すると、吐き気や頭痛などが起こる可能性があるため注意が必要です。
さらに漢方薬に含まれている成分と体の相性が悪いために副作用が起きる場合もありますので、薄毛の改善のために服用する際には、自己判断で飲むのは避けるようにしましょう。
効果が見られてきたら徐々に服用量を減らす
薄毛が改善されたら漢方薬の服用をやめてしまう方もいるかもしれませんが、改善が見られた直後にすぐ服用を止めてしまうと、再び症状が起こる可能性があるため注意が必要です。
ですから効果が現れてきたら、徐々に服用する量を減らしていくことをおすすめします。
量を減らしても薄毛の進行が見られなければ、最後には服用をやめて少し様子を見ましょう。
まとめ
今回は、薄毛に効果を発揮する漢方の種類や、より効果的な漢方薬や服用の仕方などについて見てきました。
市販薬の副作用が気になる方は、漢方薬はドラッグストアや通販などでも手軽に購入することができるためおすすめです。
とはいえ漢方薬にも全く副作用が全くないわけではないため、自分の体質に合った漢方を探すためにも、薄毛や抜け毛が気になる方は、できれば一度漢方薬局や漢方医に相談してみるとよいでしょう。