ブラッシングの時、スッとブラシが通らないことはありませんか?
そのまま無理にブラッシングすると、「ブチッ」と音がして髪が途中で切れたり根元から抜けてしまったりすることもありますよね。
それがたまにならそれほど問題はありませんが、毎回、あるいは最近そんな状態になることが増えてきたという場合は要注意です。
髪自体に問題が起き始めている可能性が高いのです。
Contents
健康な髪の毛の表面の状態
まずは、本来の健康な髪の毛の表面がどのようになっているか解説します。
髪の一番外側にはキューティクルがある
キューティクルは髪の表面を覆うウロコ状のタンパク質組織で、数枚が重なり合っています。
この枚数は遺伝によって決まっているといわれ、少ない人は2枚程度、多い人は7~8枚重なっています。
枚数が多いほど髪が太くなり、ハリやコシのある髪質になります。
キューティクルの内側にはコルテックスという、髪のケラチンタンパク質や脂質、水分など髪の成分の大部分が含まれています。
大切な部分なので、キューティクルが保護しているのです。
キューティクルは健康なほどしっかり閉じている
キューティクルのウロコは、根元から毛先に向かってついています。
また、健康な髪はウロコ同士がしっかり密着し、コルテックスの成分が抜けないよう守っています。
このような状態の髪の毛は縦に引っ張られた時に耐える力が強く、たった10本で1キロのものを持ち上げることができます。
絡みやすい髪の表面の状態①<ダメージ>
キューティクルのうろこが上から下に向かって重なっているのですから、しっかり閉じている状態の髪であれば、髪同士が絡むことはありません。
しかし、ダメージによってキューティクルが開いてしまうとその部分同士が引っかかり、髪が絡みやすくなります。
また、絡んだ髪同士が摩擦を起こすことで、段々キューティクルが剥がれてしまいます。
すると剥がれた部分とそうでない部分に段差ができ、ますます絡みやすくなってしまうのです。
さらに、キューティクルが剥がれた部分からはタンパク質や脂質、水分などが抜け出し、その代わりシャンプー時に水分が入り込みやすくなります。
するとその部分がダメージのない部分との水分量の差で、うねりが出てきます。
するとうねり同士が絡むため、ますます髪は絡み、ダメージもひどくなってしまうのです。
絡みやすい髪の表面の状態②<乾燥>
シャンプーの強い洗浄力やドライヤーの使い過ぎで、髪が乾燥していませんか?
キューティクルは、髪が乾燥し過ぎるとウロコ同士の密着度が低くなってしまいます。
その結果、ウロコが開きやすくなり、髪同士が絡み合いやすくなるのです。
また、乾燥しすぎた髪は静電気を帯びやすくなります。
静電気は適度な水分があれば空気中に放電されますが、乾燥状態だと髪の中に籠ってしまいます。
そのため、髪同士の摩擦によって静電気が起こり、髪同士がさらに絡みやすくなってしまうのです。
絡みやすい髪の表面の状態③<シャンプーやスタイリング剤のすすぎ残し>
美容院でシャンプーしてもらうとわかるのですが、かなり長い時間お湯で洗い流していますよね。
一般的に、美容院ではシャンプーを付けて洗っている時の3倍の時間をかけて洗い流します。
しかし、自宅でのシャンプーでそれだけ長い時間すすいでいる人は、あまりいないといわれています。
その結果、シャンプー剤が残ってしまい、その上からコンディショナーやトリートメントをすることになるため、髪がべたついてしまい、絡みやすくなるのです。
さらに、スタイリング剤のすすぎ残しも原因の一つです。
ヘアスタイルを1日持たせようと強めのものを使用したりたっぷりつけたりすると、一度洗いではきれいに取れません。
するとスタイリング剤同士がくっつきやすくなり、絡みの原因となるのです。
このように、髪が絡むということはすでに髪がダメージを受けている状態だということです。
それを無理に梳かそうとすると、さらに髪が傷ついてしまうのです。
ダメージが広がり切れ毛や枝毛が増える
髪の毛は死んだ細胞の集まりです。
そのため、一度剥がれたキューティクルは再生せず、その部分をカットしない限り傷み続けることになります。
また、一旦傷つくとその回りの部分に段差ができて引っかかりやすくなるため、ブラッシングや髪同士の摩擦によってダメージ部分が広がってしまいます。
最悪の場合、キューティクルすべてが剥がれ落ち、コルテックスがむき出しになってしまうこともあるのです。
そこまでいってしまうと髪の成分はほとんどなくなり、手ぐししただけでも切れたり、枝毛がどんどん増えたりしてしまいます。
抜け毛が増える
前述のように、健康な髪の毛は多少引っ張ったくらいでは抜けません。
しかし、すでに弱っている髪をブラシなどで強引に梳かすと、髪が根元から抜けてしまうことがあります。
特にパーマやカラーリングで根元から薬剤をつけることを繰り返していると、頭皮の状態が悪くなり、髪をしっかりホールドすることができなくなっています。
そのため、少し力を入れてブラッシングするだけで抜けてしまうのです。
抜けた部分にはすぐに生えません
髪が抜けてしまったとしても、また生えてくるから大丈夫、そう思っていませんか?
確かに髪は何度も生えてきますが、それは正しいヘアサイクルの場合です。
髪の寿命は決まっていて、女性の場合成長期が4~6年、その後2~3週間の退行期と数か月の休止期を経て、抜けるようになっています。
休止期の間に毛穴奥では新しい髪の毛を作る作業が行われており、その髪が伸びることで古い髪が押し出され、抜けていくのです。
しかし、成長期の髪が抜けてしまうと、毛穴奥にはまだ新しい髪の毛が生まれていませんから、次の髪が生えるまでに時間がかかります。
その状態が繰り返されると、髪の毛は生えることを止めてしまったり、細く抜けやすい髪ばかり作るようになったりしてしまうのです。
ブラシが通る健康な髪を作るために
では、どうすればブラシがスッと通る髪の毛にすることができるのでしょうか。
その方法をいくつかご紹介します。
ブラッシングは毛先から少しずつ
まずは、正しいブラッシングの方法を覚えましょう。
いきなり根元からブラシを入れるのではなく、必ず毛先から少しずつ梳かすようにしてください。
また、その際は髪の毛を手のひらの上に乗せたり、強く引っ張らないよう上のほうを押さえたりしながらブラッシングしてください。
また、絶対に力を入れたりサッサッと早くブラシを動かしたりしないことも大切です。
なお、ブラッシングで頭皮ケアもしたいという場合は、力を入れて梳くのではなく、ブラシ部分で頭皮をトントン叩くようにしましょう。そうすると髪にダメージを与えません。
濡れた髪はブラッシングしない
キューティクルは水分を含むと開きやすくなります。
そのため、シャンプー時やタオルドライの際にブラッシングするのはNGです。
特にタオルドライの時に髪を揉むようにすると、それだけでキューティクルが剥がれてしまいます。
タオルで髪をやさしく包み込み、上からポンポン叩くようにして水分を取ってくださいね。
ドライヤーは低温設定にする
髪の毛はタンパク質ですから、60℃を超えると変質が始まります。
それを防ぐために、ドライヤーをかける際はできるだけ低温設定にしましょう。
温度が60℃以下でも風量があればすぐに乾くので、できるだけ風量が多いドライヤーを使うと良いですね。
また、ドライヤーで髪が8割ほど乾いた時点で、冷風に切り替えましょう。
すると水分の過剰な蒸発を防ぐことができます。
シャンプー後の自然乾燥はNG
ドライヤーは髪が傷むからと自然乾燥している人がいますが、お勧めできません。
特に髪が長いほど乾くのに時間がかかり、その間に開いたキューティクル同士が絡みやすいからです。
また、半乾きの状態で寝てしまうと、シーツや枕との摩擦でキューティクルは非常にダメージを受けてしまいますよ。
まとめ
ブラシがスッと通らないのは、中には髪質による場合もありますが、ほとんどは髪のダメージによるものです。
ブラシが通りにくいダメージへアは、たとえブラッシングしてもすぐにまた絡んでしまいますから、髪が傷まないよう正しいケアを行ないましょう。