女性は男性のようにハゲることはない、と言われています。
確かに、街ゆく女性を見ても男性のように完全に髪がなくなっている人はまずいません。
しかし完全ハゲはなくても、地肌が透けるほど髪が減ってしまう女性が増えています。
しかも、20代という若い世代にも…。
この原因は何なのでしょうか。
女性はハゲないと言われる理由
女性が男性と違いハゲにくいのは、以下の理由があるといわれています。
女性ホルモンの分泌量が多い
髪が生えてから抜けるまでの周期をヘアサイクルと言い、女性の場合4~6年、男性は3~5年といわれています。
この差は、女性ホルモンにあります。
女性ホルモンのエストロゲンには、髪の成長を促し寿命を長くする働きがあります。
男性にも女性ホルモンはありますが、平均して女性の1/10程度しかないため、髪の寿命が短いのです。
男性ホルモンの分泌量が少ない
実は、女性ホルモンのエストロゲンは男性ホルモンから作られています。
コレステロールが男性ホルモンに変化し、さらに女性ホルモンに変化するのです。
女性の場合、男性ホルモンも多少は残りますが、男性の5~10%といわれています。
男性ホルモンのテストステロンには髪を強く太くする働きがありますが、20歳前半をピークに分泌量がどんどん減ってきます。
するとテストステロンは酵素と結合し、DHTという強力な男性ホルモンを作り出します。
このDHTに脱毛作用があるため、男性がハゲやすいのです。
女性は元々男性ホルモンが少ないため、DHTに変化してもそれほど大きな影響がないと考えられています。
頭皮の細菌が増えにくい
頭皮にはマラセチア菌という常在菌がおり、頭皮に皮脂を与え、乾燥させないようにしています。
しかし、増えすぎると皮脂が酸化して過酸化脂質となり、頭皮奥まで浸透して髪を生み育てる毛母細胞を傷つけてしまいます。
皮脂の分泌量は男性ホルモンによってコントロールされていて、男性ホルモンが多いほど皮脂分泌量も増えます。
女性は男性ホルモンが少ないため、マラセチア菌が過剰繁殖しにくく、頭皮環境が良好に保たれているのです。
男性のハゲは遺伝によるところが大きい
近年の研究で、男性のハゲは遺伝が大きく影響しているという説が注目されています。
しかも、ハゲの遺伝子は母親から受け継がれるため、母方の男性親族に薄毛やハゲの人がいると、遺伝しやすいという結果が出ているのです。
この遺伝子はテストステロンをDHTに変化させるメカニズムに働きかけるため、男性にこの遺伝子が受け継がれると、ハゲやすくなります。
その一方、女性は元々テストステロンが少ないため、遺伝子を持っていても影響があまりないのです。
女性の薄毛は男性とタイプが違う
加齢などの原因で、女性も薄毛になります。
しかし、男性とはタイプが違います。その点について、簡単に見ていきましょう。
女性と男性では薄くなる部分が異なる
男性に多い薄毛はAGA(男性型脱毛症)と呼ばれ、特に男性ホルモンの影響を受けやすい前頭部や頭頂部、つむじが薄くなります。
男性ホルモンとは関係ない後頭部や側頭部だけ髪が残っている男性は結構見られます。
対して女性の薄毛は、全体的に薄くなるという特徴があります。これをびまん性脱毛症といいます。
抜ける髪の質が違う
AGAの場合、特に初期は太く長い髪が抜け、徐々に細く短い髪も脱毛していきます。
最後には1センチ程度で抜けてしまうようになります。
しかし女性の場合、男性ほど短い抜け毛はあまりありません。
抜ける髪の特徴は細く柔らかいことで、成長途中で抜けてしまいます。
髪の健康は女性ホルモンによる部分が大きいため、女性ホルモンの分泌量が減ってくると髪の成長が遅くなります。
女性ホルモンは30歳前後から緩やかに減り始め、40代になると一気に減少し、閉経するとゼロではないものの、ほんのわずかしか分泌されなくなります。
そのため、40代頃から細毛や軟毛が増えてくるのです。
最近多い?地肌が透けてしまう女性が増えた理由
これまで書いてきたことでおわかりのように、女性は男性のように完全ハゲになることはほとんどありません。
しかし、最近地肌が透けてしまうほどの薄毛に悩む女性が増えているのです。
その原因として、以下のことが考えられています。
闘う女性は男性化しやすい
極端な薄毛に悩む女性の多くは、社会で男性に混じってバリバリ活躍するタイプといわれています。
男性に臆さず意見を言い、時には闘って仕事を勝ち取っていく日々を送っていると、交感神経が常に優位になります。
には脳を興奮させて心身を緊張させ、闘いに挑む作用があるためです。
しかし、この神経には男性ホルモンを増やす働きもあります。
そのため、男性同様前頭部や頭頂部、つむじなどの髪がどんどん抜けてしまい、地肌が透けるほどになってしまうのです。
加齢によって女性ホルモンが減少し男性ホルモンの作用が強まる
女性ホルモンは30歳前後から減少し、40歳前後で約7割、50代で半分、60代は2割程度になります。
しかし、女性の男性ホルモンはそれほど極端に減少せず、60代でようやく半分程度になります。
そのため、元々男性ホルモンが多めの女性の場合、その作用が強くなり髪にも影響が出やすくなるのです。
男性ホルモンは頭皮の皮脂を過剰にする
男性ホルモンのもう一つの影響が、皮脂分泌量の増加です。
男性ホルモンが増加して頭皮の皮脂量が増えると、紫外線や酸素によって酸化しやすくなります。
また、マラセチア菌が増えると遊離脂肪酸を放出するため、これも酸化してしまうのです。
これらの酸化脂肪は毛穴から浸透し、毛根部にある毛母細胞や毛乳頭にダメージを与えてしまいます。
毛乳頭は血液から栄養や酸素を受け取り、それを毛母細胞に与えて髪を成長させるため、これらが傷つくと髪が育たなくなるのです。
頭皮や髪から脂っこい悪臭がするようになったら、かなり危険です。
増えるストレスによる血行不良
現代社会における女性の多くは、ストレスを四六時中受けているといえます。
仕事だけでなく、家事や育児、ご近所付き合い、義両親の介護など、休む暇もありません。
常にストレスを抱えていると、全身が緊張して血管も収縮したままになります。
すると頭皮まで栄養が届かず、成長不良を引き起こすのです。
酸欠で頭皮細胞が新陳代謝できない
血液は栄養だけでなく、酸素も運んでいます。
酸素には細胞の新陳代謝に不可欠なもので、血行不良になると酸素が充分届かず、頭皮細胞が生まれ変われなくなります。
髪の毛は毛母細胞が新陳代謝や分裂を繰り返すことで伸びていくため、酸欠状態が続くと髪が細く弱くなるのです。
特にストレスには呼吸を浅くする作用があるため酸欠状態になりやすく、ストレスが溜まりがちな女性ほど薄毛になりやすいと考えられます。
ストレスを減らすのが最善の対策
男性ホルモンの増加や交感神経の活性化、それに伴う栄養不足や酸欠の多くは、ストレスが元凶です。
そのため、ストレスを減らすことがハゲ予防に最も大切です。
こんな方法でストレスを解消しましょう。
ゆっくり入浴する
最も手軽でオススメなのが、入浴です。
ゆっくり湯船に浸かっていると全身の筋肉がほぐされ、血行が良くなります。
すると交感神経より副交感神経が優位になり、呼吸が深くなって心もリラックスしてきます。
さらに、心身がリラックスすると、質の良い睡眠が取りやすくなります。
熟睡中は脳が様々な情報を整理し、不要なものは消し去る作用があるといわれており、ストレスの軽減にとても効果的なのです。
入浴する時は心臓の負担にならないよう、38~40℃のぬるめのお湯で胸の下あたりまでつかり、15分ほどのんびりしましょう。
ウォーキング
運動がストレスの軽減に良いといわれていますが、やり過ぎは身体にストレスを与えますし、呼吸が荒くなると体内に活性酸素が増えてしまいます。
これは、空気中に約2%の活性酸素が含まれているためです。
そこで、散歩やウォーキングなど、呼吸が少し上がる程度の運動を行ないましょう。
寝る直前までのスマホやパソコンはNG
ストレスでゲームやSNSを寝る直前までやっていませんか?
あれらの機器から発せられるブルーライトは交感神経を活性化させてしまうことがわかっています。
するとベッドに入ってもなかなか寝つけなかったり、夜中に起きてしまったりしやすくなり、ストレスが抜けにくくなるのです。
寝る1~2時間前には操作を止め、入浴や軽いストレッチ、アロマの吸引など心身をリラックスさせるようにしましょう。
寝酒はほどほどに
ストレスで眠れないからとアルコールに頼る人がいますが、お勧めしません。
酔い始めは副交感神経が優位になり心身がリラックスしますが、飲み過ぎると交感神経のほうが強くなるのです。
よくお酒の席でケンカが始まるのは、そのせいです。
また、アルコールを分解するには亜鉛やビタミンCが必要です。
これらの成分は食べたタンパク質を髪のケラチンに変化させるために不可欠なもので、飲み過ぎると髪が弱く細くなってしまうのです。
まとめ
女性にとって、髪の毛はとても大切ですよね。
いつまでもふさふさした美髪を維持するために、男性ホルモンが異常に活性化しないよう、自分に合った方法でストレスを出来るだけ解消しましょう。