冬でも紫外線が降り注いでいること、そしてしっかりケアしないとシミやそばかすの原因になることは、最近よく知られるようになってきました。
紫外線対策成分として「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」があることも、よくメディアで取り上げられています。
では、髪の毛の対策はどうでしょうか。
髪の毛のUV対策をしている女性はまだ少なく、ましてや吸収剤と散乱剤どちらが良いのか、判断しにくいのではないでしょうか。
そこで、冬もしっかりヘアケアしていただくために、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の違いや、どちらがより良いのかなどについて解説していきます。
Contents
髪や頭皮が紫外線を浴びると何が起こる?
髪や頭皮のダメージの大きな原因とされるのが、紫外線、パーマやカラーリング、間違ったヘアケアです。
中でも紫外線は1年中浴びているため、対策を取らないでいると以下のようなことが起こってきます。
キューティクルが開いたり剥がれたりしやすくなる
髪の毛は一番外側がキューティクルというウロコ状の組織、真ん中がタンパク質や脂質、水分など髪の成分のほとんどが詰まっているコルテックス、そして中央のメデュラの3構造になっています。
キューティクルにはコルテックスを守り髪の健康を維持する役割がありますが、紫外線によってウロコ状の組織が開いたり剥がれやすくなったりします。
そのままにしておくと、シャンプー時の流水などによってコルテックス内の成分が流出し、髪が細くもろくなってしまうのです。
髪が絡まりやすくなる
キューティクルが剥がれると、中の脂質や水分が抜けてしまいます。
すると髪がパサつき、さらに静電気が貯まりやすい環境になるため、髪同士が絡まってしまうのです。
髪同士が絡まるとブラッシングの際無理な力がかかるため、切れ毛や裂け毛、抜け毛の原因となるのです。
皮脂分泌量が過剰になる
紫外線によって髪や頭皮が乾燥しているのに、べたついてしまうことがあります。
これは頭皮が乾燥するとより紫外線の悪影響を受けやすくなるため、皮脂を大量に分泌することで頭皮を守ろうとするからです。
また、皮脂は頭皮から髪へと移動していくため、髪全体がべたついてくるのです。
頭皮がべたつくと、マラセチア菌という頭皮の常在菌が大量に増殖し、遊離脂肪酸を放出します。
これがかゆみや炎症の原因となり、毛穴内にもダメージを与えて抜け毛や細毛の原因となります。
さらに、この状態を解消しようと洗浄力の強いシャンプーを使用したり二度洗いしたりすると、さらに頭皮が乾燥するため皮脂分泌が増えるという悪循環に陥ります。
この状態の時は、よくべたついた大きめのフケが出ます。
しかし、いくら皮脂を分泌しても取り除かれる状態が繰り返されると、皮脂は不要と判断されほとんど分泌されなくなってきます。
すると細かくかさついたフケが増えるようになり、皮脂過剰の時と同じように細毛や抜け毛も増えてくるのです。
頭皮が硬くなり血行が悪くなる
紫外線によって乾燥した頭皮は新陳代謝が遅くなるため、だんだん硬くなり伸縮性もなくなってきます。
すると皮膚のすぐ下にある毛細血管が圧迫され、血行が悪くなります。
髪の毛は毛細血管から送られる血液によって伸びていくものなので、栄養不足を起こした毛母細胞は髪を産み育てることができなくなり、髪の成長が止まって抜けやすくなるのです。
活性酸素が毛母細胞を攻撃する
紫外線を浴びると、活性酸素が発生します。
これも髪や頭皮のトラブルの原因となります。
活性酸素は呼吸するだけで体内に増えていく特殊な酸素で、本来は細菌やウイルスが侵入するのを防いでいます。
しかし増えすぎると健康な細胞まで攻撃し、酸化させてしまうのです。
頭皮が紫外線を浴びて活性酸素が増えると、毛母細胞のDNAを傷つけてしまいます。
すると髪の健康が損なわれ、切れ毛や枝毛、くせ毛、細毛、抜け毛などの原因となるのです。
髪色が変化する
髪の毛の色を決めるのは、コルテックス内にあるメラニン色素です。
しかし紫外線にはメラニン色素を破壊する作用があるため、紫外線を浴びれば浴びるほど髪の毛が脱色されて赤茶けてきてしまいます。
さらに、二剤式ヘアカラーや白髪染めを使用している人は、薬剤の過酸化水素によってメラニン色素が減ったり破壊されたりしているため、色の変化がより早くなります。
髪の毛の紫外線対策UVカットとは
このように、紫外線は髪と頭皮に悪影響を及ぼし、薄毛や抜け毛の原因となります。
そこで最近知られるようになったのが、髪の毛用のUVカット商品です。
洗い流さないアウトバストリートメントやUVカットスプレーなどが代表的で、髪の毛と頭皮のダメージを予防してくれるのです。
UVカットとは
紫外線にはUVAとUVBがあります。
UVAは肌の真皮層まで透過し、真皮のコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなど肌の柔軟性を保つ成分を破壊してしまいます。
また、UVBは皮膚表面に炎症を起こさせるもので、皮膚ガンの原因になるといわれています。
そこで、UVカットではPA(UVA)とSPF(UVB)という数値を用いて、それぞれの紫外線を防御する強さを表しています。
PAの+の数が多いほどUVAを防ぐ威力が強くなり、SPFの数値が大きくなるほど、UVBの悪影響を受けるまでの時間を長引かせることができるのです。
UVカットには2タイプある
UVをカットする成分には、「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」があります。
それぞれのタイプについて簡単に説明しましょう。
・紫外線吸収剤
紫外線を吸収して化学反応を起こさせ、肌奥に浸透させないようにするものです。
ブロック作用が強いものの、肌が弱い人には刺激となり、かゆみや炎症、湿疹などの原因となることもあります。
さらに、頭皮につくとアレルギーの原因になるケースも起きています。
主な成分には、以下のものがあります。
・t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン…UVAを吸収
・メトキシケイヒ酸エチルヘキシル…UVBを吸収
・オキシベンゾン-3…VUA、UVB両方を吸収
・紫外線散乱剤
酸化チタンや酸化亜鉛など天然成分から作られるため、ノンケミカル、ケミカルフリーなどと書かれることが多いです。
紫外線吸収剤に比べると刺激が少ないのですが、汗で落ちやすく紫外線防御力がそれほど強くありません。
また、白浮きしたりべたついたりするというデメリットもあります。
最近は白浮き防止のために粒子サイズをナノ化したものが増えていますが、皮膚に浸透して金属アレルギーを引き起こす可能性もあります。
どちらを使ったほうが髪と頭皮にやさしい?
最近は紫外線吸収剤が肌に良くないということで、ナノ化した紫外線散乱剤が多く販売されるようになっています。
しかし、粒子が小さいと頭皮についた場合残留したり、毛穴内に入り込んだりして、薄毛や細毛、切れ毛などの原因となる危険性もあります。
そこでどちらのタイプを使用する場合も、以下の方法を守りましょう。
・アウトバストリートメントは頭皮にはつけず、毛先中心につける
・スプレータイプは髪全体にさっとかけ、当日のうちに必ずシャンプーで洗い流す
このように使えば、紫外線吸収剤でも散乱剤でも、それほど頭皮には悪影響を及ぼしません。
なお、頭皮も紫外線から守りたいところですが、元々髪の毛は頭皮を紫外線から守る働きがあります。
髪をUVケアすることで、紫外線が頭皮まで届くのを防ぐことができるのです。
できるだけ刺激が少ないものを選びましょう
特に肌が弱い方は、紫外線防止成分だけでなく界面活性剤や防腐剤、香料など少量の添加物によってトラブルが起きる場合があります。
そこで、以下のことを基準に選ぶとより安心です。
・SPF値・PA値があまり高くないもの(SPF15~30、PA++程度)
・界面活性剤や髪に吸着しやすいシリコン、防腐剤などがあまり含まれていないもの
商品を扱うメーカーのサイトをよく読み、「界面活性剤・シリコン・ポリマー無添加」といったことが書かれているものを選びましょう。
紫外線吸収剤や散乱剤を使いたくない場合は
どれほど注意してこれらのUVカット製品を使用しても、肌が弱い場合はかゆみや炎症を起こし、抜け毛の原因となることがあります。
そこで、これらの商品を使用せず紫外線をカットする方法も知っておきましょう。
・帽子をかぶる
・日傘を使用する
・UVカット処理加工した生地で髪を覆う
・できるだけ髪をコンパクトにまとめる
特に夏はUVカット加工したパーカーが販売されているので、そういったもので髪を守るのも良いですね。
シャツ代わりにできるような、薄手で細身のものを数着買っておくと、冬でももたつくことなくオシャレに着こなせますよ。
まとめ
紫外線で髪や頭皮が傷むのを、完全に避けることはできません。
しかしちょっと気を付けるだけでダメージを最小限に食い止めることができます。
薄毛に悩む女性は、夏はもちろん冬もしっかり髪と頭皮をガードしましょう。