薄毛が気になり出すと、いずれハゲてしまうんじゃないか、そこまで行かなくても地肌が透けてみっともなくなるんじゃないか、と心配になるかもしれません。
しかし、実際には高齢の方でもハゲている人はほとんどいませんよね。
女性には、男性と違って髪を維持する機能が備わっているのです。
女性の髪のメカニズムを知って、薄毛対策に役立てましょう。
Contents
髪の毛と頭皮の構造
まずは、簡単に髪の毛と頭皮の構造について説明しましょう。
髪の毛の構造
髪の毛は、一番表面がキューティクル、二番目がコルテックス、中央がメデュラの、三構造になっています。
キューティクルはうろこ状の層になっていて、少ない人は2~3層、多い人は7~8層はあり、遺伝といわれています。
髪の手触りやツヤはこの部分で決まります。
コルテックスは髪の大部分を占めるところで、タンパク質、脂質、水分、メラニン色素などが含まれています。
この部分が太いほど髪も太くしっかりします。
メデュラは、現在のところ役割がはっきりしていません。
また、メデュラ部分がない人もいます。
キューティクルには、コルテックスを保護するという重要な役割があります。
キューティクルが傷ついたり剥がれたりしてしまうと、コルテックス部分が剥き出しとなり、中の成分がどんどん流出してしまいます。すると弱くもろくなり、切れ毛や枝毛の原因となります。
頭皮の構造
髪の毛は、表面に出ている部分を毛幹部、毛穴内にある部分を毛根部、毛根部の一番下のふくらみがある部分を毛球といいます。
さらに、毛球部分の一番下には毛乳頭という、毛細血管とつながった部分があり、血液を貯蔵しています。
その毛乳頭の回りには毛母細胞があり、栄養をもらいながら細胞分裂を繰り返し、分裂した細胞が蓄積されて髪の毛となり、伸びていきます。
また、皮膚は一番上の表皮とその下の真皮、さらに下の皮下脂肪に分かれていて、毛穴の毛根部は真皮にあります。
髪の毛は、毛先のほうが伸びることは一切なく、どんな長い髪も毛母細胞の細胞分裂によって伸びていきます。
そのため、毛母細胞や血液の貯蔵庫である毛乳頭の細胞にトラブルが起きると、髪が伸びなくなったり栄養不足で細く弱くなったりします。
髪の毛のサイクル
次に、ヘアサイクルについて見ていきましょう。
女性と男性では髪の寿命が大きく違う
髪の毛には、寿命があります。
一般的に、女性は4~6年、男性が2~5年といわれています。
この差は、女性ホルモンと男性ホルモンによるものです。
女性ホルモンには髪の寿命を伸ばす作用があり、男性ホルモンのうちテストステロンには髪を太くする作用があります。
しかし、加齢などによってテストステロンが減少すると、DHTという別の男性ホルモンに変化します。
このDHTに強力な脱毛作用があるため、男性の髪の寿命が女性より短くなるのです。
ヘアサイクルとは
髪の毛の寿命は、成長期、退行期(移行期)、休止期の3つに分かれます。
成長期は寿命の大半を占め、髪が成長を続けている時期です。
その後、2~3週間の退行期に入ります。
この時期になると毛母細胞が毛乳頭から徐々に離れ、栄養が届かなくなってきます。
そして3~4ヶ月の休止期になると毛乳頭と完全に離れるため、成長がストップします。
そして休止期の最後のほうになると新しい毛母細胞が髪の毛を作り始め、その髪が伸びるに従って古い髪を押し出し、抜けていきます。
また、休止期の髪は毛穴に刺さっているだけの状態なので、ブラッシングやシャンプー時などにちょっと引っ張られるだけでも、抜けやすくなっています。
健康な髪の状態
髪をよく見ると、太さが一定ではないはずです。
これは髪が健康な証拠で、成長初期はまだ髪が細く、成長中期~後期になるとどんどん髪が太くなるためです。
また、初期の髪は細いものの毛根部にしっかり根付いているため、引っ張ると結構痛く、簡単には抜けません。
しかし、成長後期になると太いものの少しずつ根っこの部分が弱くなるため、抜けやすくなってきます。
さらに退行期や休止期に入ると、太さは変わらないもののするっと抜けてしまうこともあります。
髪が不健康な状態になると
髪の太さがどこもほぼ同じで細い、という場合、不健康な状態になっている可能性があります。
栄養が充分届かないため、髪が充分成長できないのです。
また、抜けた毛の毛先部分が細くなっている場合も、成長途中で抜けたということです。
毛先が細いのは、一度もカットしていない証拠です。
それなのに抜けてしまったということは、髪や頭皮に何らかの問題が起きて、寿命が短くなったということなのです。
女性の髪は永遠に生える?
最初に書いたように、女性でハゲる人はほとんどいません。
その理由はいくつかあるので、一つずつ解説しましょう。
女性ホルモンはなくならない
女性ホルモンは、髪の寿命を大きく左右します。
このホルモンの分泌量は30歳前後がピークで、それ以降徐々に減っていき、40代後半になると加速します。
これが更年期で、閉経時は女性ホルモンの量が10歳頃と同じ程度まで減ってしまいます。
しかし、それ以降はほぼ平行線で、80歳を過ぎても分泌量はゼロにはなりません。
10歳の頃に髪の毛が生えなかったかというと、そんなことはありませんよね。
ですから、髪の寿命がなくなる=髪の毛が生えなくなるということはないのです。
細胞の新陳代謝に時間がかかるだけ
よく、お肌のターンオーバーサイクルは28日といいますが、これは20代の場合です。
10代は約20日、30代は約40日、40代は約55日、50代は約70日、60代になると約100日もかかるようになります。
髪の毛は、毛母細胞の細胞分裂=新陳代謝によって伸びていきます。
つまり、加齢とともに髪の毛が伸びる速度が遅くなるのです。
単純に考えると、20代に比べると40代は約2倍、60代は3倍以上の時間がかかるということになります。
さらに、毛母細胞が新しい髪を生み出すのにも時間がかかるようになりますから、抜けてから新しい髪が生えるまでの時間も長くなります。
このように、加齢とともにターンオーバーサイクルが長くなるため、なかなか髪が伸びず太くもなりにくく、しかも新しい髪の毛がなかなか生えて来なくなるため、薄毛にはなってしまいます。
しかし、毛母細胞が生きている限り、髪の毛が生えなくなることはないのです。
栄養が届きにくくなるが全く届かない訳ではない
髪の毛の成長は、血液がしっかり届くかどうかにかかっています。
加齢とともに血管壁の弾力性がなくなって硬くなったり、毛細血管が消滅してしまったりすることはよくあり、これが様々な病気の原因となります。
しかし、すべての血管が詰まったりなくなったりすることはありません。
また、国立循環器病研究センターによると、加齢=血管年齢アップということはなく、中には70~80歳になっても動脈硬化など血管トラブルが全くない人もいるそうです。
そのことから、確かに加齢は頭皮に血液が届きにくくなる要因の一つではあるものの、絶対的ではないということになりますね。
若い頃に比べれば血管の細胞の新陳代謝も時間がかかるようになりますから、頭皮に栄養が届きにくくなることは当然あります。
しかし、血液が全く届かなくなる状態になることはまずないと考えましょう。
髪の成長を助けるために
男性の場合、男性ホルモンDHTの力は非常に強く、ハゲ回避は困難といわれています。
しかし女性の場合は様々な角度から髪の成長を促すことができます。
・髪の毛の主成分となるタンパク質と、それを髪のケラチンタンパク質に変化させる亜鉛やビタミンB群をしっかり摂る
・女性ホルモンに似た作用をするイソフラボンを多く含む大豆製品を積極的に摂る
・ウォーキングやサイクリングなど、主に足を使う軽い運動を中心に毎日行なう
・頭皮の血行を良くするために、頭皮マッサージを毎日数分で良いので行なう
こういった簡単なことの継続で、薄毛の予防になるだけでなく、薄毛の改善も充分期待できます。
さらに、女性用育毛剤などをプラスすれば、より早く結果が出やすくなります。
女性の髪の毛は永遠に生える可能性があること、それには地道な努力を毎日続けることが大切だということを知って、毎日の生活に組み入れましょう。