EPAはエイコサペンタエン酸、DHAはドコサヘキサエン酸といい、どちらも青魚に多く含まれる成分です。
これらの成分はとても身体に良いのですが、特にDHAは頭が良くなるといわれているんです。
頭が良くなるなら、頭に生えている髪の毛にも良いことないかしら?と思って調べてみたら、本当に髪の毛の成長を助けてくれることがわかりました。
青魚のEPAの働き
青魚にはEPAとDHAという成分が含まれていて、特にイワシ、サバ、アジ、マグロなどに豊富に含まれています。
EPAは必須脂肪酸で、n-3不飽和脂肪酸の一種です。魚の脂に多く含まれていて、このような働きがあります。
EPAには血中の血小板が固まるのを防ぐ作用があり、血栓ができないようにして血液をサラサラに保ってくれます。
その働きによって生活習慣病予防に良いとされています。
悪玉コレステロールや中性脂肪が血中に多いと、血液に粘りが出てドロドロにしたり、血管壁にへばりついて血管を狭くしたりしてしまいます。
すると血液を送るために心臓が圧力をかけるため、高血圧を引き起こしやすくなります。
EPAがこれらを減らすことによって血液がサラサラになると、圧力をかけなくてもスムーズに流れるようになるため、血圧が下がるのです。
EPAにはレゾルビンやプロテクチンなど抗炎症作用のある成分を生み出す働きがあり、炎症を抑制します。
EPAには、シクロオキシゲナーゼやリポキシゲナーゼなどの炎症反応を引き起こす酵素の働きを抑える作用があります。
炎症が抑えられるとヒスタミンなどの生理活性物質の活性が阻害されるため、アレルギーに効果があると期待されています。
EPAは、生理痛を引き起こすといわれるプロスタグランジンを変化させ、痛みを抑制するプロスタグランジンE3を作り出します。
そのため、痛みを生理痛やそれに伴う頭痛や吐き気などが軽減するのです。
メカニズムはまだわかっていないものの、2017年にサントリー健康科学研究所が発表したところによると、EPAを多く摂取すると抑うつ傾向を発症するリスクが約26%低くなるという結果が出ています。
長くEPAを研究しているニッスイによると、EPAを多く含むツナ缶を週5回以上食べると、ドライアイを発症しにくくなることが確認されたそうです。
EPAの血液サラサラ効果は、スポーツ時の持久力を高めることにつながります。
血液は栄養の他に酸素も運んでおり、血液がサラサラになると全身に新鮮な酸素が行き渡るようになります。
EPAを摂取すると呼吸で取り入れなければならない酸素の量が減るため、運動効率が高まることが実験でわかっています。
さらに、血液がサラサラなので全身に送る際心臓のポンプの負担が小さくなり、疲労度が軽減されます。
青魚のDHAの働き
DHAは一時、頭を良くする作用があると大評判になったことがあります。
EPAが脳内に入り込めないのに対し、DHAは脳内に入れる数少ない成分です。
DHAは母乳に含まれる成分ですがEPAに比べると研究が遅れており、未知の部分が多いのですが、以下の働きがわかってきています。
DHAは元々脳細胞内の海馬という部分に多く存在する成分です。
海馬は記憶力や学習能力を司る部分で、DHAを摂取することで脳が活性化します。
ユニリーバ社の2011年の発表によると、DHAなしの粉ミルクとDHA入りの母乳で育てた子供では、母乳で育てたほうが知能指数がずっと高いという結果が出ています。
DHAには、硬くなった血管の壁に柔軟性を取り戻させる働きがあります。
さらに、赤血球の細胞膜の伸縮性を高めることで、細い毛細血管にも血液が入り込めるようにする作用もあり、血流を改善します。
ただし、血液サラサラ効果はEPAのほうが高くなっています。
EPAと同様血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす作用の他、善玉コレステロールを増やして腸内環境を良くする働きもあります。
その働きによって、生活習慣病の予防や改善に役立つと考えられています。
DHAは網膜を構成する脂肪酸の約4割を占めており、視力の維持に大きな役割があると考えられています。
近視の子供にDHAを含む食品を与えたところ、視力が良くなったという報告もあります。
サントリーの発表によると、EPAと同様DHAを毎日多く摂取すると、抑うつ傾向を発症するリスクが約21%低いという結果が出ています。
EPAとDHAが髪と頭皮に与える作用
EPAとDHAは、それぞれが別の作用を持ち、それと同時に同じ作用もあるため、様々な効果が期待されています。
では、髪や頭皮に対してはどのような働きを示してくれるのでしょうか。
髪の毛は血液から作られますから、当然汚れた血液なら健康な髪は育ちません。
EPAには血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす作用があるため、サラサラで清浄な血液を頭皮に届けることができ、髪を太くしっかりしたものにしてくれます。
いくら清浄な血液ができても、それを届けるには良い血流が必要です。
DHAは血管壁を柔らかくすることで伸縮性を高め、血液を巡らせる力を強くします。
その結果、より早く清浄な血液が届き、さらに不要物を静脈に送り込む働きも良くなるので、髪の成長を早める効果が期待できます。
食事で摂取した炭水化物や脂肪のうち余分なものは、体内に蓄積されて中性脂肪やコレステロールに変化します。
すると頭皮の皮脂分泌量も増え、頭皮や髪がべたつくようになってきます。
また、頭皮にはマラセチア菌という常在菌が存在し、頭皮を弱酸性にしてくれているのですが、皮脂をエサに増殖するとフケやかゆみの原因となります。
それらが毛穴に入り込むと脂漏性脱毛症を引き起こすのです。
EPAの中性脂肪やコレステロールを減らす効果は、頭皮の皮脂分泌量を適切に抑え、雑菌の繁殖を抑えてくれるので、抜け毛予防にも良いと考えられます。
TV番組で放映された青魚の育毛効果
「青魚を多く食べる漁師には薄毛の人が少ない」という噂を検証すべく、ある芸人に2ヶ月半イワシの缶詰を食べさせ続けたところ、実際にその効果が確認されています。
2ヶ月半という短期間ですから、明確に髪が増えた、太くなったとまではいえません。
しかし、育毛専門クリニックでも実感できるまでに最低でも3ヶ月かかるといわれることを考えると、一定の効果があるといえるでしょう。
効率的にEPAやDHAを摂るには
EPAやDHAが薄毛に効果が期待できるとあっては、できるだけ効率的に摂りたいですよね。
その方法にはこのような方法がお勧めです。
EPAは熱に弱く、煮る、焼くといった熱を加える調理法で約2割なくなってしまいます。
また揚げ物の場合は、半分以下になるといわれています。
お刺身やお寿司にして食べるのが、最も良い方法です。
あるいは、多少減りますがレンチンし、溶け出した脂も食べるようにしましょう。
魚のニオイが手につくのが嫌、という方は、手軽な缶詰を利用しましょう。
缶詰の製造は生魚を缶に詰め、調味料を入れて密封し、それから加熱します。
そのため脂もしっかり残り、EPAがたっぷり残っているのです。
なお、マルハニチロの工場長さんによると、缶詰は出来たてより1年くらい経ったもののほうが、旨みが馴染んで美味しくなるそうですよ。
DHAはEPAからも作られます。
そのため、EPAの量が多いものを食べれば、結果的にDHAも多く摂れることになります。
EPAは以下の青魚に多く含まれています。
食品名/含有量(100g当たり) |
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やつめうなぎ(干し)/2,200mg | すじこ/2,100mg |
あゆ/さば/イワシの蒲焼(缶詰)/1,800mg |
いくら・さばの水煮(缶詰)/1,600mg |
さんま/1,500mg |
くろまぐろ・イワシ(缶詰)/1,400mg |
ほっけ・さばの味噌煮(缶詰)/1,100mg |
EPAやDHAの必要摂取量は定められていません。
ただ、不飽和脂肪酸は身体に良いものの、摂り過ぎると良くありません。
厚労省はn-3不飽和脂肪酸の目安摂取量として、成人男性は2,000~2,400mg/日、女性なら1,600~2,000mg/日としています。
他の食事でも摂取することを考えると、缶詰なら1/3~1/2缶程度が良さそうです。
青魚を毎日食べるのは無理、という方は、サプリが手軽です。
サプリに含まれるEPAは50~300mgと商品によって幅がありますが、配合量が多ければそれだけ価格も上がります。
信頼できるメーカーであること、続けられる価格であることを目安に選びましょう。
まとめ
EPAやDHAは健康に良いだけでなく、薄毛の予防改善にも効果が期待できます。
青魚の缶詰やサプリなどで手軽に摂れますから、積極的に食べると良いですね。